さよなら富士見ミステリー文庫

多くの人に愛されていた富士見ミステリー文庫が、今月発売の『ROOM NO.1301』と『SHI-NO』の最終巻を持って、いよいよ終了となるみたいです。そこで、富士ミスの 8年強の軌跡を、いくつかの作品を挙げつつ振り返ってみました。

2000年11月: 富士見ミステリー文庫創刊

今でこそ富士ミスといえば「L・O・V・E!」ですが、当初はわりと真面目にミステリを目指していました。創刊は以下の8冊。特に、『Dクラッカーズ』は、初期の富士ミスを牽引した人気シリーズ。ドラッグをメインに添えた青春ストーリーが定評でした。

  • 菜子の冒険 猫は知っていたのかも。 /深沢美潮
  • ハード・デイズ・ナイツ レクイエムは君の―― /南房秀久
  • 御手洗学園高等部実践ミステリ倶楽部 亜是流城館の殺人 /舞阪洸
  • 月が射す夏 コバヤシ少年の生活と冒険 /イタバシマサヒロ
  • Heaven's Game ゲームデザイナーは眠れない /高山浩
  • 理央の科学捜査ファイル 静寂の森の殺人 /夏緑
  • Dクラッカーズ 接触―touch― /あざの耕平
  • 天知未来がいる街 愉快な奇術師 /田村純一

2001年 2月: 『なばかり少年探偵団』スタート

初期の富士ミス作品の中では、恋愛モノとしても丁寧に作られた良質な内容が、非常に評価を得た作品。にもかかわらず、残念ながら、3巻で打ち切り。いくら質が良くても、ミステリ主体の文庫では限界なのでは? という想いを多くの人に刻みつけた作品でもありました。

2002年 1月: 『ブロークン・フィスト』スタート

富士ミス主催の新人賞、富士見ヤングミステリー大賞の記念すべき第一回受賞作。実は読んだことはないのだけど、トリックの凄さ(酷さ?)は何かにつけて語り草になっています。……っていうか、やっぱり、ミステリを標榜するレーベルとして、はじめから何か間違っていたのでは(^^;。

2003年 4月: 発売日が20日から10日へ

おそらく、富士ミス最大の失策。「電撃文庫の隣に並べてください」との書店向けの告知とともに発売日を10日に変更したが、流通の違いから電撃文庫は数日前に並ぶため、実質的には同時に並ぶどころか、棚をすべて電撃文庫に抑えられた直後という最悪のタイミングで本屋に入荷するということに。素人目にも、これでまともに売れるわけがない……。

2003年 9月: 『ROOM NO.1301』スタート

名実ともに、富士ミスの代表作。「僕に恋愛は似合わない」と、不思議なマンションに集う不器用で心に傷を持つ若者たちの恋愛ドラマ。富士ミスが、まだ、「L・O・V・E!」に舵を切る前に、いち早くLOVE寄せした衝撃っ!!

2003年12月: スーパー・ブースト計画

装丁の大幅変更っ!! そして、L・O・V・E! いやぁ、これぞ富士ミスです。今までのミステリ路線から大幅転換して、いきなり「L・O・V・E!」ですよ、「L・O・V・E!」。賛否両論あったとは言え、この計画により、真に愛すべき富士ミスとなりました。

2003年12月: 『GOSICK』スタート

いまや直木賞作家として有名な、桜庭一樹の人気シリーズがスタート。一時期はアニメ化の噂もあり、いろいろとタイミングよく回っていれば、富士ミスの現状も変わっていただろうに……。続刊の話もあるけど、レーベル移籍?

2006年 6月: 初体験Project

人気作家の読み切り短編を連続刊行っ!! と、今から思えば、富士ミスが放った起死回生のための最後の一手。『さよなら、いもうと。』『空とタマ』という傑作を出したことは、特筆に価するも、残念ながら、売上的には失敗の域を出なかったようで、その後、2007年になると、富士ミス終了の噂が囁かれるようになる……。

2008年 2月: 富士見ヤングミステリー大賞終了のお知らせ

新人作家の募集を担う富士ミスの新人賞が終了のお知らせ。富士ミス終了の噂が、とうとう目に見える現実に。

2008年 5月: 『夜想譚グリモアリス』が富士見ファンタジア文庫に移籍

後期富士ミスの中で比較的人気のあった『夜想譚グリモアリス』が、『幻想譚グリモアリス』とタイトルを変えて富士見ファンタジア文庫に移籍、翌6月には、『さよならトロイメライ』も『放課後トロイメライ』と名を変え移籍。連載シリーズは、『ROOM NO.1301』と『SHI-NO』だけとなり、富士ミス終了のカウントダウンがはじまる。

2009年 3月: 『ROOM NO.1301』『SHI-NO』がシリーズ終了

そして、富士ミスは伝説へ……?


富士ミス読了リスト

[ 2009.03.18 ]

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