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KADOKAWA 角川ビーンズ文庫
彩雲国秘抄 骸骨を乞う(上) /雪乃紗衣

うわぁ、泣ける(T-T)。5年ほど前に完結した名作『彩雲国物語』のその後を描いた連作短編。もともと単行本で刊行されてたのが、ようやく文庫に落ちたので購入したのだけど、これは泣けるわ。その後、「最上治」として歴史に名を遺したと語られる紫劉輝の治世を、宰相の鄭悠舜、劉輝と王座を争った旺季、下巻では、旺季配下の凌晏樹かしら? この三人の人生を語ることで描くというもの。「骸骨を乞う」とは臨終の際に永遠の別れを告げる決まり文句らしく、このモチーフ、泣かす気満々ぎるだろっ!!

この上巻は、鄭悠舜と旺季。鄭悠舜、劉輝の異常な執着に応える一方、互いに相手を大事に想うあまりに道を違えた旺季との特別な関係。旺季、前王・戩華に一族を滅ぼされ、その戩華王のいる王座を目指し、戩華王の死去以降、すべてにおいて劉輝に先んじていたにも関わらず、王座を簒奪することなく晩年を隠居のように過ごした半生。この二人の、生きる目的を探しながら乱世を不器用に生き抜いた人生が、せつなすぎて号泣ですよ。

しかし、悠舜と旺季に焦点を当ててるとはいえ、「最上治」の中心となる劉輝や秀麗、劉輝の側近たちが、悠舜や旺季に伍するまでとは言わなくても、それほど成長してるようにはみえず、不甲斐ないのが気になるな。そして、本編ラストによれば、

 “――彼(劉輝)がようやく妻をめとることができたのは、上治十五年、三二歳。”
 “結婚した翌年、娘を産んだ紅秀麗は、娘と引きかえるようにまもなく息を引き取る。”

とあったのだけど、うわぁ、この上巻ではあまり語られていないけれど、もうその時までは、ほとんど時間が残されてないんだよな。下巻では間違いなくそこまで描かれると思うのだけど。秀麗……。

[ 2016.05.08 ]

雪乃紗衣作品の感想