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KADOKAWA 角川ビーンズ文庫
彩雲国秘抄 骸骨を乞う(下) /雪乃紗衣

最高傑作。自分史上、これほど泣けた作品は、ほかに思い出せません。紅秀麗が亡くなる最期の一年。本当に泣ける。

“結婚した翌年、娘を産んだ紅秀麗は、娘と引きかえるようにまもなく息を引き取る”……本編のラストで語られていたその最期の一年を描いた、劉輝と秀麗の幸せながらも哀しい物語。この『骸骨を乞う』という連作短編が、鄭悠舜、旺季、凌晏樹の人生を語ることで大切な人を失う哀しさをこれでもかと描いたうえで、さらに満を持して秀麗の最期を描くとか、この計算された構成が凄いわ。はじめは幸福に戸惑い、やがて、秀麗を失うことを怖れる劉輝に、産めばおそらく死ぬだろうとわかっているのに、鄭悠舜を失い傷ついた劉輝を知っているのに、それでも「大丈夫」と繰り返す秀麗。穏やかに幸福を分かち合う秀麗と劉輝と、そんな二人を見守る成長した側近たち、そして、所々に挿入される遺言のような秀麗のメッセージ、……どこを読んでも泣ける。素晴らしい。

「ちょっぴりの時間が終わったのね」、そして、やがて来るその瞬間と、残された劉輝と娘。大丈夫、大丈夫、それでもやがて歩き出す劉輝の姿に、読んでいて涙が止まらない。『彩雲国物語』の最期を〆るにふさわしい、素晴らしい短編集でした。

[ 2016.05.10 ]

雪乃紗衣作品の感想