好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!!

新潮社 新潮文庫
天と地の守り人 第三部 新ヨゴ皇国編 /上橋菜穂子

綺麗な大団円。あの逆境からこの紙幅で、よくハッピーエンドにたどり着いたなぁ。いやぁ、あの花畑のシーンが切なく感動的。よい物語でした。

まあ、ただやっぱり、カタルシスには少し物足りない。というか、あまりに整いすぎたエンディングに、むしろ違和感。予定調和すぎるというか、ひいたレールに忠実すぎる展開はなぁ。や、児童文学の限界なのかしら。正直、もっと血が流れるべきだったと思うんだけどなぁ。チャグムと帝の結末は作者に都合の良い「逃げ」としか思えないし、ラウル王子の選択もあまりに素直すぎる。なんというか、出てくるキャラというキャラが、すごく優等生的でストーリーに従順なのだけど、もちっと流れに逆らうような奴がいてもよかったんじゃなかろうか。

[ 2011.06.28 ]