好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!!

早川書房 ハヤカワ文庫JA
天冥の標VI 宿怨 PART 2 /小川一水

おめでとう。もう、やめていいのです。

すごい、ゾクゾクくる。幸せに到る道はすぐそこにあったのに、気づいたときには、もはや引き返せない絶望感。奴隷のように《救世群》に従うカルミアンが怖すぎる。そして、いよいよ始まった《救世群》の戦闘も圧巻で、素晴らしすぎるっ!!

そゆわけで今回は、《穏健な者》とのファーストコンタクトを経て、やがて、人類との戦争に突き進んでいく《救世群》を描いた物語。ミスン族およびカンミアの歴史が、やっぱりスケールがでかくて素晴らしい。そして、ほんとに圧巻なのが、いよいよ始まった艦隊戦で、寡兵ながらも圧倒的な技術力で制圧していく展開が、すげー熱すぎるっ!! 単に圧勝するだけでなく、そこここに漂う敗戦フラグが、なおさら哀しくも熱い展開を盛り立ててるよねぇ。で、対するロイズ側のジェズベル女史もヤバくなってるのだけど、……えっと、《救世群》側の敗北ではなく、もしかして、人類全滅フラグなのか、これ。

それにしても、第一巻の様子から、どうしようもなく悲劇のヒロインなイサリが、あまりに流されやすい性格でダメ人間すぎる。正直、もうちょっとヒロインヒロインするのかと思ってたよ(^^;。……そいえば第一巻では、2503年にシェパード号が惑星ハーブCに到着ってことになってるのだけど、本巻が2501年~2502年なので、航行期間を考えるとすでにあちこち矛盾があるんだよなぁ。一巻の時代では、2500年当時の記録が改ざんされているのは間違いないのだけど、やはり次巻辺りで、致命的な何かが発生するんだろうか? 現在唯一の恒星間宇宙船ジニ号が13人乗りなのに、シェパード号が2万人の移民を収容していたのも気になる。というか、やっぱ、ハーブCが太陽系外惑星というのが嘘なんだろうなぁ。下手すると、2万人しか生き残らないんじゃね?という感じもする人類の行く末が、私、気になりますっ!!

[ 2012.09.04 ]