クロノ×セクス×コンプレックス


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
クロノ×セクス×コンプレックス(1) /壁井ユカコ

壁井ユカコの巧さはそのままに、壁井ユカコらしからぬ明るく爽やかな学園コメディだと……。うわぁ、特に後半の、先の見えない中で、畳み掛けるような展開が圧巻、素晴らしい。

そゆわけで、暗く退廃的な作品の多い壁井ユカコの新シリーズ。平凡な少年・三村朔太郎は、気がつけば、女の子になって魔法学校に入学っ!! という感じで、壁井ユカコらしくない明るい学園コメディな内容にビックリ。TSに魔法学校にタイムリープと、いろんな要素を詰め込みながら、主人公の三村が、次々と事件に翻弄されるスピーディで先の読めない展開が、いやぁ、楽しい楽しい。そして、百合的な雰囲気を醸し出す愉快な人間関係。どうしてこれで、共学設定なの? 次巻では男子生徒の出番も増えるらしいけど、素直に、女子校にしたほうがいいんじゃね? ……ただ、基本的には楽しいかったのだけど、三村は、場面場面で作者の都合で性格のパラメータが変わるようなところがあって、そこが非常に気になったりも。女の子たちは、きちんとキャラが立ってるのに、三村は、明らかにキャラが定まってないんだよなー。

[ 2009.11.23 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
クロノ×セクス×コンプレックス(2) /壁井ユカコ

男イラネ。<をい。1巻では空気だった男子生徒が、この2巻では本格出演。男子のバーニーは、三村とともにタイムリープな事件に巻き込まれる、という内容で、1巻同様、壁井ユカコらしからぬ明るいドタバタコメディが非常に面白いのだけど、ただ、個人的には、もっと、ニコやオリンピアなど、ミムラ周りの女の子の話が読みたかった……。

や、確かに1巻のあとがきで、“次巻ではもう少し男子にもスポットがあたる予定”と書かれてたけど、単純に男子がストーリーに絡んでくるだけではなく、まさか、新キャラのバーニーが実質的な主人公に立ち位置になるとはっ!! やりすぎだよっ!! 当然、女の子たちのアレコレに関しては、ほとんどページが割かれなくなっていて、ちと、がっかり。それにしても、バーニー視点で見るミムラが、あまりに思わせぶりな女の子になっていて、すごく怖い。ドキドキすぎる(^^;。誤解ですれ違いなドタバタコメディはやぱし楽しすぎっ!! そして、衝撃のラストが素晴らしい。やっぱ、ストーリーはすっごく面白くて、続きがとっても気になるぅ~。

[ 2010.08.19 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
クロノ×セクス×コンプレックス(3) /壁井ユカコ

小町ぃぃぃぃぃぃぃっっっ!! や、なんという惨くて重い展開……。本巻は、いよいよミムラ・S・オールドマン登場、というのがメインエピソードかと思いきや、その後に続く重い展開があまりに衝撃的すぎて、オールドマンの印象が薄すぎる(^^;。まあ、そもそもオールドマンって、病んでるだけで、所詮、雑魚キャラ的な立ち位置だよね(笑)。それよりも、明らかになってきた小町と<永久時間剥奪者>の運命が重すぎて重すぎて、今後、気楽な学園ストーリーとしては楽しめないと思うんだけど、どうすんだ、これ? せっかく、オリンピアやニコとの恋愛展開となるかと思っていたら、これだと小町が強力すぎる。なんてこった……。

[ 2010.11.14 ]