グアルディア


早川書房 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
グアルディア /仁木 稔

「ここはもっときちんと書くべきじゃないかなー」という部分と「このシーンは必要なのかしらん?」という部分が散見されて、ついでに、文章も読みにくい。加えて、いまいち話を盛り上げるための演出が弱くて、さらに、登場人物の切実さがさっぱり伝わってこない。……新人さんということを差し引くと悪くはないと思うんだけど、それでもやっぱり、無駄に話が長くて、いまひとつという印象ががが。<読み終えるまでやたら時間がかかったので、なおさらそんな印象に

そゆわけで、遺伝子汚染により文明が崩壊した未来世界を描いた SF。舞台を中南米としたのが非常に巧い。あと、作者の人は文系らしいのに科学的知識がきちんと正確で、その点も安心して読めます。27世紀の世界の描写は非常に良いのだけど、ただ、やっぱり登場人物の想いが伝わってこないのがなー。心が倦んだ人々の愛憎劇、みたいな内容だけに、ちょっとツライよなー。

[ 2004.09.03 ]