鉄球姫エミリー


集英社 スーパーダッシュ文庫
鉄球姫エミリー /八薙玉造

最高傑作級。もう、エミリー様、下品すぎるだろっ(爆笑)。いやぁ、軽くコミカルなノリと裏腹に、良くぞここまで、重い話に仕立ててきたなぁ。文章も読みやすく、構成も非常に巧く組み立てられていて、新人とは思えない出来。ほんと素晴らしい。

第6回スーパーダッシュ小説新人賞大賞受賞作。弟王との王座争いを避けるため、辺境に引きこもっている王女エミリーは、待女や騎士にやりたい放題の日々。今日もジュディやアルバートをいぢって遊び倒していた……。という感じで、愉快で下品なエミリー様が素晴らしすぎるっ!! エミリー様、万歳っ!! エミリー様、最高っ!! そして、そのエミリー様を容赦なく襲う運命っ!! エミリー様の豪快な性格も、シリアス展開する重いストーリーも、手加減なく描かれていて、ほんと面白い。そして、単にコミカルなキャラとシリアスな展開というギャップだけで見せるのではなく、ストーリー構成がきちんと丁寧に組み立てられていて、そこもまた、素晴らしいのよな。くぅ~~~、ホントに素晴らしい作品でしたっ。

[ 2007.09.29 ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
修道女エミリー 鉄球姫エミリー第二幕 /八薙玉造

この作者の人、めちゃ上手いや。あのラストシーンから繋げるのは、かなりどうかと思ったのだけど、第二巻としては、ほとんど完璧、理想的。マジに良く出来た内容で、めちゃ面白かったぁっっっ!!

そゆわけで、下品なエミリー様を描いた第二段。ノーフォーク家の三男・グレンは、憧れのエミリー様の護衛騎士になるべく修道院へ。しかし、そこではじめて出会ったエミリー様は想像とは全く異なり、とにかく下品で傍若無人だった……。と、コミカルで下品な内容はそのまま、きちんとえげつない展開も用意されていて、マジに素晴らしい。ホント、続編には不安を抱いていたのだけど、いやぁ上手いなぁ。第二巻の作り方としては、ストーリー構成等、ほんと理想的。まあ、もうちょっと重く容赦なくてもいいとも思ったのだけど、それはそれか。第三幕も用意されているそうで、続きも非常に期待です。

[ 2007.12.25 ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
花園のエミリー 鉄球姫エミリー第三幕 /八薙玉造

凄ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!! もうもう、読み終えた時の衝撃といったら、めちゃ凄いっ!! 最高っ!!

仇敵ジョセフとの和解のため、直接ジョセフの元に赴くことにしたエミリー。一方、国境でも不穏な動きが……。ということで、いや、そういう展開を示唆する伏線は随所に散りばめられていたので、当然、そういう展開になるんだろうな、とは思いながら読み進めてはいたのだけど、まさか、ああいう形でああなるとは思いませんでした。やるなら、ふつー、某要塞陥落の報の前だよな。いやもう、ほんと、八薙玉造は素晴らしいっ!! 物語の要請に従って、躊躇なく描けるところは、ほんと素晴らしいと思う。

それにしても、ラゲーネン国の情勢を考えると、敵?の行動は、国のためというにはあまりに無茶じゃないか?

[ 2008.06.30 ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
戦場のエミリー 鉄球姫エミリー第四幕 /八薙玉造

遊びも少なく、ガンガン進んでいくな。完全なシリアス展開。や、読者的には黒幕がわかってるだけに、グレンくんの行動にヤキモキさせられて、もやもやでしたよぉ~~~。

ラゲーネン王国を襲った惨劇。悲しみに暮れるエミリーを置き去りに、裏で糸を引くパーシーの計略通りに事態は進んでいく……。という感じで、エミリーの出番も少なく、周りの人々も流されるまま、事態が進むこと進むこと。今までの『鉄球姫エミリー』とは、ちょっと違った雰囲気の前半はちとビックリでした。そして、エミリー様復活の見せ場は素晴らしいですなっ!! ……それにしても、ラゲーネン王国の内乱&ヴェルンスト王国の侵攻と、やけに話を広げた印象なのだけど、どこまで描くつもりなんだろ。まあ、もっと権謀術数で搦め手な展開になるかと思ったら、予想よりも直球なので、わりと単純に終えるつもりなのかしらん?

[ 2008.07.28 ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
鉄球王エミリー 鉄球姫エミリー第五幕 /八薙玉造

疾風怒濤に駆け抜けた最終巻。いやぁ、無駄も遊びも少なく一気に終わってしまったのは残念だったけれど、その代わりに密度の濃い展開が、凄い凄い。綺麗に纏められたラストも素晴らしかったですっ!!

内乱に続くヴィルヘルミーネの侵攻によって存亡の危機にあるラゲーネン王国とエミリーの行く末は……。というわけで、最終巻。うわぁ、グレンの成長がすさまじいなぁ。開眼するグレンと、そして、最終バトルのエミリーとグレンの連携プレイが、もう、圧巻で素晴らしいっ!! とにかく手に汗握る熱いバトルの連続が素晴らしい最終巻でした。……まあ、あまりに凝縮された怒涛の展開だったので、シリーズ当初の魅力だった、容赦のない展開を下品で個性的なキャラで彩る内容は、ちょっと弱まってしまった印象でそこは残念。や、もう一人二人は死ぬと思ったんだけどなぁ。<をい

[ 2009.05.27 ]