人体 失敗の進化史


光文社 光文社新書
人体 失敗の進化史 /遠藤秀紀

解剖学者である作者が、昔ながらの動物解剖の魅力を訴え、最近の研究者や社会風潮を批判する、という内容。……とりあえず、タイトルは変えるべきだと思いました(^^;。

作者の人が、とにかく動物解剖が好きで、今の環境にいかに不満を持っているか、ということが凄く伝わる一冊。いや、動物解剖や社会批判を語る筆致の熱さに比べると、人の進化に関する部分はすごくさらっとしてるのよね。章立てからみても、全5章のうち、人間の進化に関するのは2章のみで、その2章も、ラストの社会批判に繋げる前振りという意図も見えたりする内容。いやぁ、ここまで、売るための見かけと実際に主張したい内容がくっきり異なると、むしろ清清しいぐらいです。ある種のエロゲみたいだ(^^;。……ただ、割り切って人間の進化の部分を切り捨てた方が、明らかに面白くなったと思うので、そこは非常に残念。やっぱり、人間を絡めた方が、売り上げがいいんだろうか。

で、進化について扱った部分は、オーソドックスなネタが多く、可もなく不可もなし。私的には、個々のネタをもうちょっと掘り下げて書いて欲しかったところ。あと、写真と図はもっと多めにわかりやすく入れてくれれば良かったんだけどなー。

[ 2006.10.21 ]