携帯電話俺


小学館 ガガガ文庫
携帯電話俺 /水市 恵

ゴミ。特に、終盤はあまりに酷いだろ。そもそも前半は、カフカの『変身』を現代風にアレンジしました、というライトノベルとしては一風変わったノリになのに、そこに無理やり不釣合いなファンタジーでバトルな要素を突っ込むバカ。しかも、ファンタジーの魅力もバトルの良さも作者の人は理解できてないだろう、という非常に低レベルな内容。ライトノベルだからとりあえず入れてみました、という感じですか? 理解できてないんなら、素直に最期まで『変身』のオマージュに徹しろよ。

第1回小学館ライトノベル大賞“佳作”。目が覚めたら携帯電話になっていた、という話なのに、好きな娘の持ち物になってアレな姿を覗き見る的な嬉し恥ずかしな展開はなくガッカリ。代わりに、携帯電話になった俺から見た日常は、わりときっちり描かれていて、そこは面白かったです。……というか、それ以外の部分はあまりに酷いわけですが。特に、ファンタジーでバトル中心の後半はまったく読む価値もなし。

というか、ガガガの新人を二作買って、二作ともここまで酷いとは、いくら弾をそろえなきゃいけないといっても、限度があると思うんですが。イベントでの話やあとがきを読むと、編集の人はわりと内容に口を出してる風だったんだけど、どこを直させてるんだ? ここまで酷いと、もはや、ガガガの新人は買えねぇ。

[ 2007.06.27 ]