コロロギ岳から木星トロヤへ


早川書房 ハヤカワ文庫JA
コロロギ岳から木星トロヤへ /小川一水

21世紀と23世紀をつないで描く、って発想が凄すぎっ!! ファーストコンタクトもの&時間SFとして、すげー面白かったっっっ!!

時間と時空を超越する知的生命体のカイアクを通じて、23世紀の二人の少年を、21世紀の天文学者が未来を改変しながら救うという話なのだけど、その未来改変の道具立てといい描写といい、めちゃ、たまらんわー。いやー、謎の知的生命体が出てきたり、23世紀の木星の小惑星群が舞台だったり、未来宇宙を舞台にした『天冥の標』のようなSFかと思ったら、むしろ時間SFなのよ。無限の未来の重ね合わせと、それを収束させてたった一つの今になる描写が、凄くいい。あと、お姉さん方の趣味が楽しすぎる(笑)。

ラストはハッピーエンドに持っていくのに、少し強引過ぎるとも思うのだけど、まあ、短編なので、このぐらい強引なほうが、綺麗でいいかな? 一冊で綺麗にまとまっている楽しいSFでした。

[ 2014.11.27 ]