煌夜祭


中央公論新社 C☆NOVELS Fantasia
煌夜祭 /多崎礼

はじめは単なる短編集の形式なのだけど、そのひとつひとつの短編が、だんだんと一つの方向に収束していき、最後には非常に綺麗な結末を見せる傑作っ!! 途中までは、正直、いまひとつに感じていたのだけど、全体像の見え始める中盤以降の素晴らしいこと、素晴らしいこと。

第2回C☆NOVELS大賞、大賞受賞作。冬至の夜に夜通し世界各地の話を披露し合う語り部たちの祭、煌夜祭。人々が去り廃墟となった島主の館で、今年もたった二人だけとなった煌夜祭がはじまる……。十八の島が浮かぶ世界を舞台に、せつない魔物たちの話が、二人の語り部により語られていく、という内容。各話は可もなく不可もなしというレベルで、そもそもあまり好みでもないのだけど、なんといっても、各々の話が絡まりあい、綺麗に一点に収束する様が、見事。ほんとに中盤以降は非常に綺麗で面白かったです。

[ 2006.09.21 ]