さびしがりやのロリフェラトゥ


小学館 ガガガ文庫
さびしがりやのロリフェラトゥ /さがら総

さがら総、無茶しやがって……。いや、最後まで読めばいい作品だとわかるのだけど、多分に実験的な作品で、加えて序盤がつまらない。さがら総のネームバリューがあって、かつ、ガガガ文庫じゃなかったら、出版されなかったんじゃないかしらん?

そゆわけで、いつもはMF文庫Jな さがら総のガガガ文庫での新作。旧校舎に住む吸血鬼を中心に、各章ごとに語り手を変えて描いていく作品、と。同じ展開を異なる視点で描く手法は、まあ、そこそこよくある構成だとは思うけれど、でも、ここまでその視点の違いを使って、インパクト重視の遊び心あふれる作品にするのは、かなり挑戦的だと思うぞ。そして、とにかく、語り手の一人であるライトノベル作家・常盤桃香が、いろいろとヤバすぎる(笑)。……序盤はつまらないのだけど、シギショアラ、結と、視点が変わっていくたびに、おもしろさが倍化していくのが素晴らしい。ラストも綺麗で読後感もいいのよなー。でも、実験的にいろいろ試して書いてるような感じが強くて、万人受けするような作品じゃないよね、これ(^^;。

あとがきを読むと、続編の可能性も視野に入れてるみたいだけど、比較的綺麗に終わっているし、正直、続編を書くようなタイプの話じゃないような。アイデアとインパクトの一発勝負みたいな内容なので、続きがあるとしたら、どうするんだ?

[ 2015.04.27 ]