水のマージナル


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水のマージナル /片岡とも

ダメ、これは酷い。いや、他愛のない日常描写だけは楽しいのだけど、肝心のストーリーにしろ、設定にしろ、ありえないくらい酷い。行き当たりばったりで、起承転結とか、序破急とか、ストーリー構成的なものを考えているとは、まったく思えない。1巻は導入だけで終わってるので、今後、面白くなる可能性は皆無ではないけど、ここまで下手でクソつまらないのは、マジありえないだろっっっ!!

そゆわけで、水の感情が見える不思議少女・佳奈子の物語。ゲームのシナリオライターとして有名な片岡とものライトノベルとしては二作目の作品で、まあ、一作目の『ナルキッソス』が同名ゲームのノベライズだったことを考えると、実質、初のライトノベル作品と言ってもいいか。ただ、なんかこう、ほんとシナリオライター向きで、小説書きとしては、てんでダメなのな。いや、ゲームだと、キャラと日常パートが面白ければ、それだけで一定の評価を獲得できると思うのだけど、小説形式でそれしか描けないと、さすがにダメだと思う。思えば、『ナルキッソス』もストーリー構成はダメダメだったので、小説家には絶望的にあってないんじゃないか? いや、最近は、4コマ漫画的な小説もあるので、そういう方向を目指すのであれば、また違うのかもしれないけど、少なくとも、普通の小説を書くのは、あってないんじゃないかなー。

佳奈子の「じゃんぷじゃんぷ」みたいな仕草は可愛いんだけどねぇ。シナリオライターの片岡ともはわりと好きだっただけに、ここまで酷かったのは、ほんと残念。

[ 2013.01.03 ]