メロディ・リリック・アイドル・マジック


集英社 ダッシュエックス文庫
メロディ・リリック・アイドル・マジック /石川博品

石川博品はその独特すぎる筆致のために、正直、苦手意識があったのだけど、なんだ、あのパンツの詳しすぎる描写は(笑)。冗長に感じる文章も、これはこれでいいものだなぁん。

熱心なファンが多い石川博品、その石川博品のアイドルもの。高校入学に合わせて学生寮に入ったナズマ。その学生寮は、国民的アイドルグループLEDに叛旗を翻す女子高生アイドルたちの根城だった……、と。石川博品作品は、やっぱり人を選ぶと思うのだけど、耳刈ネルリシリーズと比べるとかなり読みやすくなってる印象。物語は、体質のため音楽を楽しめないナズマが、アイドルをはじめたアコとアーシャのマネージャーとして手助けしていく、というもの。文章の癖は強いものの、ストーリーは、わりと綺麗にオーソドックスな青春モノにしたててあるのんね。アイドルを目指す女子高生を軸に、親との確執や友情や恋愛も織り交ぜた、いい話だなぁ。ナズマ視点とアコ視点を切り替えながら進むのも好みなんだけど、アコに比べて、ナズマの掘り下げが弱いのが、ちとバランスが悪いか。や、ナズマは形式的には主人公なんだけど、基本的にはアコの物語なんだよなぁ。……キャラは非常に魅力的で、アコだけでなく、アーシャや なちゅり の物語も読んでみたいのだけど、これ、続きの予定あるんでしたっけ?

[ 2017.03.12 ]