守り人シリーズ


新潮社 新潮文庫
精霊の守り人 /上橋菜穂子

おもしろいおもしろい。なんと言っても手堅いストーリーがおもしろい。元は児童書で、ライトノベルと比べると描写や演出は地味なんだけど、ほんと、きちんと物語としておもしろいのは素晴らしいです。そのストーリーはというと、父帝より命を狙われる第二皇子チャグムと、偶然チャグムを助けたことにより、チャグムを守り逃亡することになる女用心棒バルサ。チャグムとバルサは無事に生き延びることができるのか? そして、命を狙われる原因であるチャグムに宿った精霊と建国の秘密とは? という感じかしらん。

や、丁寧にわかりやすい伏線がきちんと回収される、すごく手堅い構成で、読者の期待を裏切らないストーリー展開なのよな。読んでいて「次は当然そういう展開だよな。ほらっ、きたきたきたーーーーっっっ!!」 という感じで、そしてそれが、きちんと手に汗握る展開に仕立ててあって、非常に楽しい。描写は最低限もないぐらいで、そこは物足りなくもあるんだけど、ほんとストーリーが魅力的。文庫はまだ2巻しか出てないみたいだけど、完結までは全部で10巻? や、続きも非常に楽しみですっ!!

[ 2007.09.16 ]


新潮社 新潮文庫
闇の守り人 /上橋菜穂子

2巻もめちゃくちゃおもしろいなー。1巻同様、描写は最低限で、ストーリー展開で魅せる内容。王道的に手に汗握る展開で、それでいて安心できるストーリーというのは、ほんと素晴らしいなー。

女用心棒バルサは、過去と向き合うため生まれ故郷のカンバル王国へ。先王が死に全ては終わったと思っていた過去の因縁が、大きくなってバルサを襲う。という感じで、先王の悪行とユグロの陰謀、さらに、山の王の秘密とカンバル王国の危機をキーに、ぐいぐいと読ませる展開は、ほんとに面白い。散りばめた伏線が収束し、綺麗に纏まったラストも素晴らしいなぁ。ほんとにスゲー面白い。よかったっ!!

で、封入されていたチラシによると、続く文庫版 3巻は、来春発売かいっ。すでに完了してるシリーズの文庫化なんだから、もっと出版ペースは速くてもいいと思うんですがー。

[ 2007.09.17 ]


新潮社 新潮文庫
夢の守り人 /上橋菜穂子

『精霊の守り人』の主要キャストが再登場、という点では、楽しめたけれど、いかにも、「人気が出たので、無理やり続きを書いてみました」というパターンの失敗作になってしまってるのがなー。第一巻『精霊の守り人』で綺麗に終わっているのを、第二巻『闇の守り人』は主人公・バルサの過去の因縁を持ってきて何とか対応。そして、この三巻は、大呪術師トロガイの過去ということなんだけど、もう、「トロガイの過去」を持ってきてしまう辺りからして、まるで、ネタに行き詰まったかのように場当たり的でグダグダ。追加された設定も無理があるし、ストーリーも明確な方向性がなく、まるで軸が通ってないのよな。……全10巻ということらしいのだけど、第三巻ですでにグダグダになりつつあるのに、最後まで持つんだろうか(^^;。

[ 2008.01.04 ]


新潮社 新潮文庫
虚空の旅人 /上橋菜穂子

<守り人>シリーズなのにバルサが出てこないと思ったら、もともと番外編的な位置付けの一冊だったのか。なるほど、確かに、タイトルにも「守り人」がない。チャグムが主役の話は、タイトルに「旅人」がつくのんね。

隣国サンガルの新王即位の儀に招かれた新ヨゴ王国の皇太子チャグム。ちょうどその時、大国タルシュ帝国が、サンガル侵攻の陰謀を巡らせていた……。と、バルサでなく、チャグムが主人公になったとたん、国際紛争どころか世界大戦に発展しそうな大きな話に(笑)。地味なものの、スケールの大きい、良く出来たファンタジーでした。特に、チャグムの葛藤と、そして至るチャグムの決心が素晴らしいっ!! ……って、ただ、ジョブナイルを目指した弊害か、チャグムにしろタルサンにしろ、「それで14歳という設定は無理ありすぎだろっ!!」みたいに無理やり設定上だけ年齢を下げてます、みたいな部分が気になったりも。いや、主要キャラは10代が多いはずなのだけど、みんな老成していて若さが全く感じられない。年寄りばっかりだ(^^;。

それにしても、あとがきの「行き当たりばったりで物語を書いている」というのは、非常に良くわかるのだけど(^^;、ここまで大きな世界観の話にして、どう物語に決着をつけるつもりなんだろ。まだまだ続くとはいえ、先が気になるなぁん。

[ 2008.08.08 ]


新潮社 新潮文庫
神の守り人(上)(下) /上橋菜穂子

あまりの面白さに、たまらず一気に上下巻読了。って、でも、なんという問題山積なラスト(^^;。どうにも、話を広げすぎて風呂敷を畳み損ねたような、そんな予感が。……もしかして、ロタ王国の行く末が、今後のシリーズに絡んでいくのだろうか?

バルサは幼い兄妹を助けるが、妹には危険な何かが憑いていた……。という感じで、幼い兄妹を巡り、危険な存在として殺そうとする古の言い伝えを守る一族と、助けようとするバルサの戦いが、ジェットコースター的に手に汗握る展開で、いやぁ、読ませる読ませる。ただ、キャラは記号的だし、全体にわかりやすさ優先といった感じで、ちと物語としては深みがないのは仕方ないかしらん。そして、アレだけ国家の危機を煽っておいて、そっちのほうは、ほとんどフォローなく終了してしまうラストはちょっと……。バルサの立ち位置からすると、国レベルの話は解決しようもないのはわかるんだけど、それにしても、あまりにおざなりすぎるだろ~。

[ 2009.08.11 ]


新潮社 新潮文庫
蒼路の旅人 /上橋菜穂子

すげー、とにかくすげー。北の大陸への侵略を画策する大国タルシュ帝国。そのタルシュ帝国に面する隣国サンガルからの救援を求められた新ヨゴ皇国では、帝とチャグム皇太子の間の亀裂が致命的になりつつあった……。という感じで、圧倒的すぎるよ、タルシュ帝国。前半、チャグムのあまりに青臭い聖人君子ぶりに反吐が出ると思いつつ読んでいたら、その青臭いとかどうという議論を一瞬で薙ぎ倒す圧倒的な暴力っ!! もう、ただただ蹂躙される一方のチャグム皇太子という展開の凄いこと凄いこと。そして、ラストに至るチャグム皇太子の決断っ!! これを引き継いで守り人シリーズの最終話『天と地の守り人』に続くのか。いやぁ、はじめは単なるファンタジーだったはずなのに、いつのまにか国家間のパワーバランスを描く壮大なストーリーになっているわけですがっ。うわぁ、スゲェ続きが読みたい。むちゃ楽しみすぎるっ!!

[ 2010.08.01 ]


新潮社 新潮文庫
天と地の守り人 第一部 ロタ王国編 /上橋菜穂子

<守り人>シリーズ最終章三部作の一冊目。ちょっ、チャグムを追い込みすぎだろっ!! や、タルシュ帝国の侵攻を前に、どうにかロタ王国と同盟を結ぼうとするチャグム。しかし、タルシュ帝国は、すでに、ロタ南部の大領主陣営を取り込んでいた……。と、ああそうか、ロタ王国って、南北格差で国家崩壊の危機なままだったんだっけか。いかにも、最終章第一部らしく、今まで蒔いてた問題が顕在化しまくりで勝利へのハードルが上がりまくってる気がするのだけど、これ、あと二冊でハッピーエンドに持っていけるの? そして、バルサ側は、やたら「老い」を感じさせる描写が目立つ一方、タンダも大変な状況に追い込まれ、という辺りは、バルサとタンダを落ち着かせるための布石なのかしらん?

とにもかくにも、あと二冊で終了なので、続きを読むのがすげー楽しみすぎるっ!!

[ 2011.06.26 ]


新潮社 新潮文庫
天と地の守り人 第二部 カンバル王国編 /上橋菜穂子

ロタとカンバルの同盟を取り持つため、カンバル入りしたチャグムとバルサ。しかし、カンバルは、すでにタルシュ帝国との同盟を決めていた……。と、そろそろ峠を越えて、大逆転のフェーズに入りつつあるけれど、う~ん、いまいちカタルシスが足りないなぁ。なんだかもともと予定していた展開を淡々とこなしてるだけ、という印象。いや、決してつまらないわけではないけれど、ここまでハードルを上げちゃうと、予想を超える展開を描くのは、さすがに難しいのかしらん?

[ 2011.06.27 ]


新潮社 新潮文庫
天と地の守り人 第三部 新ヨゴ皇国編 /上橋菜穂子

綺麗な大団円。あの逆境からこの紙幅で、よくハッピーエンドにたどり着いたなぁ。いやぁ、あの花畑のシーンが切なく感動的。よい物語でした。

まあ、ただやっぱり、カタルシスには少し物足りない。というか、あまりに整いすぎたエンディングに、むしろ違和感。予定調和すぎるというか、ひいたレールに忠実すぎる展開はなぁ。や、児童文学の限界なのかしら。正直、もっと血が流れるべきだったと思うんだけどなぁ。チャグムと帝の結末は作者に都合の良い「逃げ」としか思えないし、ラウル王子の選択もあまりに素直すぎる。なんというか、出てくるキャラというキャラが、すごく優等生的でストーリーに従順なのだけど、もちっと流れに逆らうような奴がいてもよかったんじゃなかろうか。

[ 2011.06.28 ]