王手桂香取り!


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
王手桂香取り! /青葉優一

好きなライトノベルを投票しよう!! 2014年上期」で上位にランクインしていたので買ってみました。第20回電撃小説大賞<銀賞>受賞作の新人作品。タイトル通りラノベでは珍しい将棋ネタなのんね。

内容は、将棋好きの主人公・歩の元に、将棋の駒が女の子の姿で現れ……。という、将棋の駒の美少女擬人化モノ。美少女擬人化モノだけど、駒たちは、恋愛の対象に入ってくるわけでもなく、あくまで将棋の先生という立場なので、萌え系というよりも、青春スポ根モノっぽい雰囲気のほうが強いかな。いままで敵わなかった他校の強敵たちに、短期間の特訓で実力を上げ、憧れの先輩たちと一緒に挑んでいくという熱い展開っ!! たぶん、駒たちが女の子である必要はあんまりない。というよりも、駒娘三人いても、正直印象弱いというか(^^;。

全国大会目指しての特訓と勝負だけでなく、先輩との青春ストーリーとしても良質なのだけど、ただ、やっぱ将棋を小説で描くのは難しいわ。文章で書かれても、さっぱりどういう盤面になっているか思い浮かべることが出来ないのよ。わりにガチに駒を動かして将棋の対局が描かれているのだけど、これ、本当に将棋をやってる人じゃないと、着いていけないんじゃないか? 絵で書いてあると、実際理解できてなくても雰囲気で理解できた気分になれるのだけど、5五銀とか書かれても、さっぱりわからんよね。これはキツイ。

しかし、一人ずつ弱い駒から娘が増えていく展開かと思ったら、このラスト、どういうことだよ!? そして、全国に行くと、対局相手も駒娘持ちとかそういう展開になるのかしらん?

[ 2014.08.30 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
王手桂香取り! 2 /青葉優一

二巻で金銀飛車角を飛び越えて玉将、さらに、中学最強との対決って、ラストも綺麗だし、ここで終わっちゃうのかしら!? 一瞬で有利不利が入れ替わる熱い対局が素晴らしかったのだけど、ここで終わりだとすると、もったいないなー。

そゆわけで、最強の駒娘、女王様の登場。全国大会優勝を目指し、女王様によるスパルタ指導がはじめる……。という感じで、いやー、玉将の化身である女王様が愉快。さすが女王様だけあって、キャラの存在感がハンパねぇ。ただ、他の駒娘たちはなおさら影が薄くなり、これなら、はじめから女王様だけいればよかったんじゃ(笑)。や、女王様は素晴らしいのだけど、前巻含め複数の駒娘を上手く描けていないのは、やっぱ、新人故の力不足なのかなぁ。……そして、打倒、中学最強を目指して短期間でメキメキと実力をつけ、その中学最強との一進一退の対局っ!! 桂香先輩との初々しいラブコメパートも含め、非常に面白かったです。

それにしても、二巻でラスボス戦にあたる全国大会終了まで描ききっていて、普通、もうちょっと巻数使う内容だと思うのだけど、どんだけもったいないスピード展開ですか。や、ラストも綺麗に終わっていて、次回といっても、高校生編とか奨励会編とかプロ編とか数年後にでもしない限り、この続きのままで書くのは難しいと思うのだけど、どう続けるつもりなんだ? というか、続くのか!?

[ 2014.09.03 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
王手桂香取り! 3 /青葉優一

綺麗に終わってた2巻のラストから、続きが出たと思ったら第一部完って。うーん、売れておまけの3巻が出たのか、売れなくて3巻で打ち切りなのか、大人の事情はよくわからんけど、この3巻ってちょっと違和感あるよなー。もし、大人の事情なしに、はじめからこの3巻を予定していたとしたら、正直、シリーズ全体で構成ひどすぎだろ。まあ、駒娘のつくりなんかを見ていても、作者の人もデビューしたてで、単巻は書けるけど、シリーズは苦手としてるような気もしなくはないけど。

それはともかく、将棋ラノベの第三巻は、桂香先輩とのペアマッチから遊園地デート、そして、弟子入りをかけての大橋名人との対局と。まあ、この一冊だけみれば、ふつーに面白い。相変わらず、女王は楽しいし、ペアマッチや名人との対局も手に汗握る展開で読み応えがあるしなー。ただ、あの2巻のラストから続けるなら奨励会編とかにすべきだったと思うし、なにより蛇足感が否めないんだよねぇ。てか、2巻はあれだけ詰め込んでたのに、3巻はなんで蛇足のような話なんだと。やっぱ、大人の事情なのかしらん。

[ 2015.05.03 ]