白銀のソードブレイカー


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
白銀のソードブレイカー ―聖剣破壊の少女― /松山剛

相変わらず、切なく泣かせに走ってるなぁ、と思ったら、松山剛なのに、単巻で終わりじゃないだと……。といっても、松山剛の初シリーズというわけではなく、たぶん上下巻なんだろうけど、ああ、泣くのは次かしら。

“これは、とある一人の少女が、世界最強の七人の剣聖を殺していく物語である”という冒頭の一文が全てを表しているのだけど、いやぁ、強く高潔で世界中から愛される剣聖を、ある理由で、一人ぼろぼろになりながら倒していく少女・エリザが、もう、せつないせつない。健気で、不器用で、寂しがりやなエリザが、とにかく可愛くて可愛くて、でも、救いようもない展開が見え隠れしていて、これがもう、せつな過ぎるっ。

倒される側の剣聖も、ものすごく魅力的なキャラに描かれていて、その娘らが、次々と生命を散らしていくのも、ほんと切ないわ。例えそういう理由があっても、いくらでもみんなが幸せになる方法がありそうなのに……。いやぁ、どう物語が決着するのかしら。エリザが救われるラストであってほしい。最後は、エリザもソウルジェムが濁る前に死んでしまいそうなんだけど……。

[ 2014.02.17 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
白銀のソードブレイカーII ―不死身の剣聖― /松山剛

うわっ、ほんとにシリーズなのか。単巻ばかりの松山剛なので、どうせ2,3巻で終わるような話になるかと思っていたのだけど、そこそこ続きそうな展開で、ちょっとビックリですよ。<をい

そゆわけで、剣聖殺しのエリザと傭兵レベンスのシリーズ。この二巻は、エリザなしで剣聖と戦うことになったレベンスは特訓を、という感じで、レベンスのパワーアップ回。わりと危機的状況のハズなのに、師匠といい、サンちゃんといい、緩いよなぁ。挿絵が裸だったり緊張感が感じられない雰囲気すぎる(笑)。

師匠や新キャラのサンちゃんはじめ、もちろん、エリザやレベンスといったキャラたちのやり取りが、あいかわらず楽しい。まあ、今回は繋ぎ的な回で、そのため、松山剛らしいあざとく泣ける要素が弱いこともあって、愉快な面が強調されすぎていて、本来重いハズの物語との違和感は否めないけどなー。……今回、レベンスのパワーアップで、続きはどうなるんだろ? 剣魔の設定を考えると、ちょっと微妙な気もするのだけど。

[ 2014.08.02 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
白銀のソードブレイカーIII ―剣の遺志― /松山剛

ぐわぁー、ラストがむちゃくちゃで、“――ど、どういうことだ……!?” まあ、どう見ても悲しいエンディングしか見えてなかったところでこの先の読めない展開は、むしろ、ハッピーエンドの兆しなのかしらん。

そゆわけで、残り二人まで剣聖を倒したエリザたち一行の前に、復讐に燃えるハーちゃんの娘・サツキ、そして、最後の剣聖ルピナスが立ちふさがる!! と、ヴァーちゃんの扱いがあまりにご都合主義すぎて、むしろ清々しさすら感じるのだけど、それはともかく、安定の王道展開が素晴らしい。ルピナスの娘ミーナが狙いすぎてて、もうね。そして、きちんとお約束のサービスシーンも入れ込んできたりして、ちゃんと読者が期待するシーンを期待するタイミングできちんと投入してくる感があって、ほんとに素晴らしいな。

で、そんな期待を裏切らない展開から、ラストの怒涛の追い込みですよっ!! ていうか、いきなり謎が謎を呼ぶようなラストだけど、うわぁ、続きが気になる。どうするんだ、これ!?

[ 2015.01.05 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
白銀のソードブレイカーIV ―剣の絆、血の絆― /松山剛

最後の剣聖デュランダルの圧倒的な強さの前に絶望するレベンスたちは……。と、いよいよシリーズ最終巻なのだけど、うーん、微妙。正直、ちょっと、ぽかーんとするような展開が多いんだよなー。少なくとも、世界の謎は、的確なタイミングで少しずつ開示するから設定に深みを持たせたり物語を牽引していくのであって、最終決戦直前にYes/Noクイズで明らかにするとかダメダメだろっ。松山剛は、もっと計算して書くタイプの作家だと思っていたのだけど、この最終巻は、そこら辺の上手さが見えず、がっかりだなぁ。

でも、レベンスとエリザがイチャイチャするシーンは、好き。そこにサツキが、もうちょっと絡んできたら良かったのだけど、さすがに、そこまでの積み重ねを描くには尺が足りなかったか。ラストも幸せでいいね。花嫁姿まで見たかったような気もしますが。

[ 2015.05.18 ]