転生従者の悪政改革録


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転生従者の悪政改革録 /語部マサユキ

めちゃくちゃおもしろいっっっ!! 素晴らしい学園ラブコメ。いや、最近よくある異世界転生ものなんだけど、憧れの先輩と二人で転生してラブコメ中心に展開するのがいいねっ!! もちろん、現代日本のチート知識で無双する展開も楽しい。いやまあ、だいたい先輩が素晴らしいのだけどっ!!

そゆわけで、観察眼が素晴らしく相談役を担うことの多い主人公・水町勇利が、憧れの先輩と謎の力に巻き込まれ、気がつけば、魔法世界で没落貴族の跡取りに転生していた、と。まあ、参謀タイプの主人公が、異世界に転生して活躍するというありがちなパターンの導入なのだけど、一緒に飛ばされた七海先輩のキャラが非常に楽しく、その七海先輩とのラブコメメインの展開が素晴らしいのよ。七海先輩、容姿端麗で才色兼備な完璧超人というキャラなのに、どう見ても残念系で愉快すぎるだろっ!! 天然で無防備で鈍感な属性持ちで、主人公へのわざととしか思えないスキンシップの数々も、ラブコメらしく最高っ!! うーん、どうせなら、七海先輩の魔法設定ももっと無双できる方向で良かったんじゃないかな? いや、ラストの対決とか、そこはもっと七海先輩に活躍させるべきところだと思う。七海先輩に比べて勇利が優秀すぎるので、この先、七海先輩がただのヒロインに成り下がりそうなのが、ちょっと不安なのよなー。

一巻は、あくまで異世界の学校が舞台だったけれど、続きはもっと大きい話になるのかしらん? タイトルからするとあくまで自国の改革までで隣国との戦争とか、さすがにそこまでは話は広がらないか。いやぁ、現代日本側の展開も楽しみで、今後も大期待ですっ!!

[ 2016.01.09 ]


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転生従者の悪政改革録2 /語部マサユキ

仮にも一国家の軍隊が、全軍あわせてせいぜい数百人しかいないとか、ギャグでやってるんだろうか? 今まで、国を二分する派閥争いがどうこうということをやっていたのだけど、なんのことはない、軍隊も政権中枢も脆弱すぎて、簡単に捻りつぶせるレベル。ここまで、国家としての体裁が酷いと、切れていいレベルの駄作なのか、それとも、渾身のギャグだったのか、判断に苦しむ。どちらにしても、これはないわ~。

1巻が非常に良かっただけに、2巻でここまで酷い内容を読まされると、反応に困るなー。「魔力至上主義」がはびこるサルヴァドル王国。魔力を持たない平民中心のチームにもかかわらず上流貴族の子弟に勝利したユーリたちは、国の改革を目指すアスール王子に呼ばれ、国軍の意識を変える手伝いをすることに……。と、平民の学生たちが春休みのアルバイトで国の軍隊の立て直しを行うという時点で、すでに突っ込まずにはいられないのだけど、その立て直しをする軍隊というのが、第一兵団が70人、第五兵団が50人。えっと、この国の軍隊って全軍合わせても、せいぜい300人程度ですか……。もちろん、この程度の兵団であれば、ユーリたち「漣」の敵ではなく、つまり、学校のクラブ仲間たちに軽く蹂躙される国家精鋭の軍隊。国とはいったい……。

強い味方が数人いれば簡単に国家中枢を握れるという辺りで、もう政治も派閥争いも考えるだけバカらしいのだけど、とはいえ、今度の敵は第一王子ということで、って、あれ? そもそも、七海先輩のシュライン家とエルのいるエーデルシュタイン家が、国を支える二大貴族じゃなかったっけ?? 第三王子と二大貴族を有する陣営に、そんな雑な計略を仕掛ける第一王子。アホだ、アホすぎる……。そんな雑な計略にもかかわらず、しかも、何が起こるかは未来予知で分かっているのに、一度はピンチに陥るユーリと七海先輩。うわぁ、なにこの茶番。そもそも政治的には、シュライン家もエーデルシュタイン家も、一応、第一王子の陣営だったハズなのだけど、そんな設定、すでに、どっかにいっちゃってるよな……。

まあ、もともと期待していたのはラブコメ部分で、そのラブコメ部分は悪くはないのだけど、それにしたって、この展開は酷い。や、宝珠辺りの展開や構成も雑で、正直、この1冊は、出版していいクオリティに達していないと思う。プロットからすべてやり直して当然というレベルだと思うのだけど、なぜ、こんな出来で出版してしまったんだ……。

[ 2016.03.05 ]


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転生従者の悪政改革録3 /語部マサユキ

やっぱ、国家レベルの話が、おままごとでお花畑なんだよなー。今回で一通り陰謀とかそういうのは終わりっぽい感じだけど、どうせなら、1巻のときのように単なる学園ラブコメに戻ってほしいところ。この作者に、主人公の半径5m以上の話は無理だろ……。

というわけで、『魔力至上主義』やら『ビースト・ウェイブ』の話は、正直、まったく読む価値もないのだけど、ナナミとユーリ、ナーミィとユリウスのラブコメ展開は、まあ、おもしろい。ただ、事前に伏線とかを挟まずに、回り道もなにもなく、ピンポイントに必要な恋愛イベントだけをぶっこんでくるので、そこはちょっと残念。もっと、いろいろな遊びを入れて、恋愛的に盛り上げてくれてもいいと思うのだけど。……とりあえず、物語的には山場を越えて、このまま終わってもよさそうな感じだけど、最終巻にしては、あまりに盛り上がる感じがなくて、物足りなさすぎるよな。もしかして、これで終わり? どうするんだ、これ?

[ 2016.06.06 ]