螺旋のエンペロイダー


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
螺旋のエンペロイダー Spin1. /上遠野浩平

久しびりに、上遠野浩平の新シリーズに手を出してみたのだけど、うーん、いろんなシリーズのキャラが顔を出してるっぽいのだけど、みんな忘却の彼方で、誰かわからん(^^;。あと、主人公の才牙虚宇介、えっと、なにこの虚空牙っぽい名前っ、ちょっと狙いすぎだろっっっ!!

まあ、いつもの上遠野ワールド。統和機構の運営するスクールを舞台にした少年少女の物語といった感じなんで、他シリーズに比べて、青春ストーリーといった感じが強いかしら? ただ、いまひとつ、方向性がわからんな。あと、妹属性持ちの小学生女児が二人、ストーリーの中心に絡んでくる勢いなのだけど、いったい、上遠野浩平は、何に目覚めたんだ? いやぁ、ほんと、キャラの見せ方とその配置が楽しいよなっ!! だからこそ、他シリーズのキャラとかが把握しきれてないのがもったいなく思うのだけど、ここまで上遠野ワールドが広がっちゃってると、把握しきれないのは仕方ないよなー。……ストーリーがどう転がるか、さっぱり想像つかないけれど、上遠野ワールドのキャラクター小説としては、続きも期待っ!!

[ 2015.12.13 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
螺旋のエンペロイダー Spin2. /上遠野浩平

ちょっ、奇蹟使いvs枢機王かよっっっ!! マジに上遠野浩平の別シリーズのキャラがどんどん出てくるスタイルのように思えるんだけど、やっぱ、登場するキャラの記憶があやふやで、残念極まりない。ぜったい、詳しく覚えてるほうがおもしろいよなー。……こういうスタイルなら、巻末に解説でもつけてくれないものか(^^;。

統和機構のスクールに通う少年少女と、世界の全てを征するといわれる“エンペロイダー”の秘密にまつわるシリーズ第二弾。他シリーズにも登場する統和機構でも指折りの戦闘員に、戦闘員未満とみなされていた少年少女たちが能力を覚醒させつつ立ち向かう展開は、めちゃ熱いっっっ!! なにこの王道展開っっっ!! たれ目にしろ、梢にしろ、楓にしろ、魅せ方が上手いわ。バトル中心のなかに、きちんとラブコメ突っ込んでくる展開も楽しいな。そして、話の根幹にいる才牙兄妹は、いまだによくわからんけど、二人のやりとりも、なかなか楽しい。そして、最強さんかー。

普通に読んでも楽しいのだけど、ちゃんと楽しむなら、上遠野浩平の過去作品を一通り読み直すぐらいしないといけない感じなんだけど、さすがにそこまでするのはつらいなー。ほんと、巻末に解説が欲しいわー。もう、上遠野ワールド、広すぎるんやよ……。

[ 2015.12.14 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
螺旋のエンペロイダー Spin3. /上遠野浩平

なにこのクライマックス感っ!! 人が変わったように本気の虚宇介に、暗躍しまくりの流刃。他のキャラたちも入り乱れての真剣な戦い。才牙兄妹の秘密にも迫り、また、統和機構の有名な幹部たちも姿を見せ、うわぁぁぁぁ、これだけ盛り上げるだけ盛り上げて、まだ、続くだと……。なんと贅沢なっ。

世界の全てを征するといわれる“エンペロイダー”の秘密にまつわるシリーズ第三弾。理不尽な命令に怒り、統和機構有数の実力者・カチューシャ、そして、母・真幌へ迫る虚宇介、一方、流刃の暗躍でスクールのメンバは虚宇介との対決を先鋭化していく……。といった感じで、人が変わったように本気の虚宇介が凄い。妹のそらと対立してまで、なんで、こんなに怒ってるんだ?虚宇介。<をい。そして、枢機王・流刃の巨悪としての立ち振る舞いも凄いのだけど、本来は、人類の敵が虚空牙で、それと対峙しようとしてるのが枢機王、なんだよな(^^;。……そして、詩歌が愉快な決心をしてるのですが、どこに行こうとしてるんだ小学生女子っ!! ふつうなら、すでにクライマックスで、すぐに終わってもおかしくない舞台装置を用意して、まだ続くんだ、この物語。ほんと凄いな。続きも楽しみすぎるっ!!

[ 2015.12.16 ]


KADOKAWA 電撃文庫
螺旋のエンペロイダー Spin4. /上遠野浩平

『螺旋のエンペロイダー』最終巻。エンペロイダーをめぐる闘いは、はじまりの場所“牙の痕”へ。と、エンペロイダーの謎、統和機構の成立の秘密、そして、虚宇介とそらの秘められた能力。統和機構vs虚空牙といわんばかりの、上遠野ワールド頂上決戦のような展開っっっ!! どうせなら、ブギーポップや炎の魔女やイナズマも登場させて、マジもんの登場決戦でも描けばいいのにっ!!

いやー、上遠野ワールドのいろいろな要素が絡みあう展開で、めちゃくちゃおもしろい。おもしろいのだけど、一方で、私も上遠野作品はすべて押さえているわけではないし、ちゃんと楽しもうと思ったら、どんだけ前提となるシリーズを読まないといけないんだよ、って、話だよな。虚空牙にしろ、寺月恭一郎にしろ、長谷部京輔にしろ、オキシジェンにしろ、初出って何年前だよっ!! 懐かしキャラ勢ぞろいみたいで、ほんと凄いな。豪華すぎるだろっ!! ……これだけ豪華なキャラを出しておいて、結局、いつもの上遠野作品らしい終わり方。唯一残念なのは、これだけ上遠野浩平らしい要素てんこ盛りなのに、イラストが緒方剛志じゃないってことか。

[ 2017.01.29 ]