剣の女王と烙印の仔


メディアファクトリー MF文庫J
剣の女王と烙印の仔I /杉井光

いつも通りの杉井光節で、おもしろいことはおもしろいんだけど、う~ん、全体にバランスが悪くて、どうにも未整理のまま、書きながらストーリーを考えてるような、ちぐはぐな印象なのが、ちょっと……。

周りを不幸に巻き込むという烙印を背負った少年が、女王気質な少女と出会うボーイ・ミーツ・ガール。杉井光には珍しいファンタジー世界を舞台に、いつも通りの杉井光らしいキャラがアレコレする話なのだけど、ストーリーを描きたいのか、キャラを描きたいのか、軸足が定まってないようにしか思えない程度にちぐはぐで、わりと重めの設定や背景の描き方も、どうにも中途半端。コミカルにするにしろ、重くシリアスにするにしろ、もっと徹底的にやって欲しいなぁ。や、好み的には、もっと重くシリアスにして欲しいところだ。

[ 2009.05.02 ]


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剣の女王と烙印の仔II /杉井光

杉井光が描くファンタジー。今回はミネルヴァの妹で不幸な運命を一身に背負うシルヴィアとどこまでも真っ直ぐな騎士ジュリオのターン。なんだか、ヒロインであるはずのミネルヴァの影が薄くなってるような(^^;。……うーん、やっぱり、杉井光の現代を舞台にした作品と違って、どうにもキャラと設定とストーリーがちぐはぐに思えて上滑りしてる印象。そして、むやみに嫌な奴が記号的に嫌らしく、ちょっと好みではないんだよなぁ。

[ 2009.08.05 ]


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剣の女王と烙印の仔III /杉井光

寡兵にもかかわらず知略でプリンキノポリを奪回したのもつかのま、2万の大軍に囲まれた銀卵騎士団。敵将デュロニウスはクリスの引渡しを要求する。……というわけで、絶望的な戦力差とピンチに次ぐピンチという手に汗握るストーリーの牽引力はさすが。加速感というか、もう、ぐいぐい読ませる読ませる。……と展開は素晴らしいのだけど、どうにも、キャラとストーリーに、ちぐはぐな感じが拭えないなぁ。やっぱ、杉井光は、現代日本を舞台にしたほうがいいんじゃね?という気がひしひしと。

[ 2009.10.31 ]


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剣の女王と烙印の仔IV /杉井光

やぱし、ファンタジーな内容と杉井光の作風があってない気がするなー。せめて、ぐだぐだ悩む二人を中心に描いてればいいのに、群像劇的にキャラも増やしいろいろ手をだしすぎてるせいで、単に散漫になってるだけという印象。特に今回は、今後への仕込みが中心のためか見せ場も弱く、特筆すべきところはなにもなし。ちょっとこのままだと、続きを買うかそろそろ迷うところだなぁん。

[ 2010.02.17 ]


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剣の女王と烙印の仔V /杉井光

ばらばらになりそうな銀卵騎士団。「神の力」の顕現により絶望を増すクリスたち。そして、隣国アンゴーラでも不穏な動きが……。と、うわぁ、なんという容赦のない展開……。いや、なおさら逆境すぎる展開なのだけど、この逆境を乗り越えて、きちんとハッピーエンドに持っていけるのか? どうなるんだ。……しかしそれにしても、クリスとミネルヴァ、ジュリオとシルヴィアはラブラブでいいですねっ!!

[ 2010.05.31 ]


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剣の女王と烙印の仔VI /杉井光

うわぁ、パオラかっこいいっ!! そして、ジュリオの決意が痛々しすぎる……。隣国アンゴーラの侵攻により行方不明の女王シルヴィア。一方、フランのいない銀卵騎士団と、王配侯ルキウスとの激戦がはじまる……。という感じで、アンゴーラ侵攻で激動の6巻になるかと思っていたら、予想よりも動きは遅いなぁ。むしろ、丁寧に書かれるパオラ、フラン、ジュリオ、それぞれの戦いが、凄い凄い。いろいろとえげつない展開だよなぁん。しかしほんと、パオラ可愛いよパオラっ!!

[ 2010.10.24 ]


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剣の女王と烙印の仔VII /杉井光

うわぁぁぁ、なんという怒涛の展開……。アンゴーラの侵攻、休戦を模索する聖王国と連合公国軍、行方不明の女王シルヴィア、聖都に忍び込むクリス、絶望と光明が目まぐるしく入れ替わるような、ギリギリすぎる展開が、とにかく凄い。特に、クリスとシルヴィアは、どうなんのこれ? ヒエロニヒカもすげぇ。壮絶な決意。そして、カーラが規格外に強すぎるのだけど、最終的に敵になるにしろ味方になるにしろ、バランス悪すぎるだろ。……や、全く先が読めない展開が、マジにすげぇ。

[ 2011.03.13 ]


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剣の女王と烙印の仔VIII /杉井光

完結。まさかこの巻で終わらせる/終わらせることができるとは思ってなかったのでビックリしたけど、感動的でいいラストでした。クリスとミネルヴァだけでなく、ジュリオやシルヴィア、フランたちも含め、群像劇として綺麗に決着させていて、いやぁ、素晴らしい。

聖都に迫るアンゴーラ軍と女帝アナスタシア。いまだ反目する聖王国軍と連合公国軍を率いて絶望の戦いに挑むフラン。一方、記憶を失ったクリスと再会したミネルヴァは……。という感じで、いろいろ強引に感じる部分もなくはないけど、それぞれの物語は綺麗に、そして感動的に幕引いていて、ほんと素晴らしい。特に、ジュリオとシルヴィア周りが凄いね。フランvsアナスタシアも凄惨で、うわぁぁぁ。ラストのパオラとシルヴィアのそれぞれのエピソードがホント泣ける。いい話でした。

[ 2011.11.26 ]