螺旋時空のラビリンス


集英社 オレンジ文庫
螺旋時空のラビリンス /辻村七子

評判いいと聞いて買ってみたのだけど、なるほど、傑作

集英社オレンジ文庫ははじめて読んだのだけど、えっと、ハヤカワ文庫から出そうな感じのSFじゃねーかっ!! てっきり、集英社オレンジ文庫って、『ビブリア古書堂の事件手帖』と同じ系統を狙って作ったレーベルかと思ってたよ。タイムマシンが開発された近未来。タイムコンダクターのルフは、逃亡した幼なじみを追って19世紀のパリへ、という感じの内容。序盤は、ヒロインはあまりに語らなすぎだし、主人公も頭悪くてイライラするのだけど、後半、だんだん謎が明らかになってくると、ぞくぞくくるなっ。基本はタイムループもので、いろいろと頭がおかしい。仮装舞踏会とか明らかに狂ってる。

もともと、SFとして評価が高いように聞いていたのだけど、SFとして素晴らしいというより、タイムループとラブロマンスの相性の良さが際立ってる。時を越えて繰り返される愛だもんな。繰り返すルフの愛も異常だけど、それを受け入れるフォースもかなり壊れてて、覚めてみてみると、二人の愛はほんと怖い。てか、この二人、どんなタイムテーブルを組んであの三年間を過ごしてたんだよっ!! ただ、ラストの仕掛けは、SFだったらもっと壮大にすべきだと思うし、全体に、SFとしてはこじんまりしちゃってて、ちょっと物足りないかなー。まあ、そこは、メインはあくまでラブロマンスということか。1冊で綺麗に纏まっていて、読後感も素晴らしく、いい作品でした。

[ 2015.06.10 ]