ヴィークルエンド


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
ヴィークルエンド /うえお久光

全裸。や、全裸は印象的なのだけど、全体的にはやや微妙だよなぁん。前半のヴィークルレースは熱かっただけに、ヴィークルレースを中心に描いてくれればよかったのに……。

先天性の精神疾患とドラッグが蔓延する近未来。ドラッグの力で自身の肉体を乗り物のように駆る違法レース「ヴィークルレース」に興じる少年少女の物語……。という感じで、精神的に壊れたキャラクターと閉塞感溢れるパンクでロックな近未来設定が魅力的な作品なんだけど、そういうエッヂな見た目とは裏腹に、「大人に理解されずに否定され、生きる目的に悩む少年少女たち」という、ありきたりでベタな物語になっちまったのが残念無念。そういうテーマなら、ヴィークルレースのSF的な設定なくても描けるんじゃね? それに、主人公たちの悩みにもどうにも共感できなかったしなー。まあ、表紙からして、ヴィークルレースの仲間たちではなくヒロインの歌姫だったり、もともと主軸はヴィークルエンドじゃなかったんだ、という話なのかもしれないけど、こー、はじめのレースシーンは面白かったのに、物語が進めば進むほどツマラなくなった感に、なおさらガッカリ。てか、出雲ミクニを出さずに、「&」のメンバだけで物語を回したほうが良かったんじゃね?

[ 2010.07.17 ]