ウェブ炎上


筑摩書房 ちくま新書
ウェブ炎上 ネット群集と暴走の可能性 /荻上チキ

作者の人はブロガーなのか。こちらの人らしい。内容的には、「炎上」についてというよりも、むしろ、「サイバーカスケード」と「ハイパーリアリティ」について実例を挙げながら語るというのが中心。いつも思うのだけど、この手の新書は、タイトルと内容が一致しないことが多すぎると思う。……ちなみに、「サイバーカスケード」「ハイパーリアリティ」とは、だいたい、以下のような感じ。

  • サイバーカスケード
    議論をしたり見てたりしてると、反対意見に歩み寄るのではなく、むしろ、意見が先鋭化して偏向が強まる、という現象。インターネットに限らない現象みたいだけど、インターネットでは顕著に見かけられるらしい

  • ハイパーリアリティ
    実体を伴わずにイメージだけが自走して、多くの人に受け入れやすい「デマ」が形成されたりすること

つまり、「サイバーカスケード」と「ハイパーリアリティ」を上手く解決できれば、ネット上での議論はもっとハッピーになる、その解決策のひとつがまとめサイト、というのが、本著の趣旨だと思うのだけど、筆の運びが慎重で自己の主張を濁すような書き方なので、結論がわかりにくいのが気になるところ。逆に、実例を豊富に挙げて丁寧に書いてるとも言えるので、この手の新書では、わりと良心的だと思いました。ただ、私的には、もっと自己主張が激しい内容のほうが、好きなんだけどなぁ。

[ 2007.10.14 ]