七姫物語


メディアワークス 電撃文庫
七姫物語 /高野 和

電撃ゲーム小説大賞の金賞。好みで言えば、大賞の『キーリ』よりも、好きかも。めちゃおもしろかった。ぜひとも、続きが読みたい~~。

拾われた少女が、偽りのお姫様となって、天下を目指す話。個々の人間関係と舞台の設定が良い感じ。や、内容だけ見ると、電撃というより、むしろコバルトなテイストなんだよね。まあ、ヒロインの作り方は、べたべたに少年向けなんだけど。<といっても、萌え系の路線ではないんだよね~。この巻は、まだ、天下統一への第一歩という感じなので、ほんと、とにかく、今後が楽しみ~。

それにしても、電撃の新人って、下手だけど魅力はある、というタイプの人が多いと思ってたのだけど、今年は、先月の大崎皇一も含めて、それなりに文章書ける人を揃えてる予感が。私的には、そんなに上手くなくても、いいんですけど(^^;。

[ 2003.02.12 ]


メディアワークス 電撃文庫
七姫物語 第二章 世界のかたち /高野 和

待望の 2巻。1巻同様、とても暖かい文章が魅力。こういう雰囲気と文章で読ませる物語は、今回のように動きが少ない展開だと、なおさら魅力的だよねぇん。や、これほど文章が魅力的な書き手は、ライトノベルでは非常に希有な存在なので、末長く続けてもらいたい。出来れば、もうちょっとペースが速いと嬉しいんだけど。

そゆわけで、中国風?世界観の戦国時代に、姫様を演じる少女のお話。電撃文庫では、まれに見る筆力で、文章と雰囲気が魅力的なのだけど、発行ペースが遅すぎのが玉にキズ(^^;。ほんと、テンポがあって綺麗な文を噛み締めるだけで、私的にはわりと満足なのだけど、あとはやっぱり、主人公のカラの描写が非常に秀逸だよなぁ。や、終わるまで、何年かかるかわからないけれど、ぜひとも、続けてもらいたいと思う。

[ 2004.01.20 ]


メディアワークス 電撃文庫
七姫物語 第三章 姫影交差 /高野 和

うひ~~、常磐姫良いねぇ~~~。真面目な性格な女の子が垣間見せるアレでソレで、うきぃ~~~。ちゅーか、エヅの配置があざといんだけどニクイねぇ。や、やっぱり高野和は、電撃の中では格別に巧いや。もうさいこーーーっっっ!!

そゆわけで、東和という和風で中華風な世界を舞台に、それぞれの姫をいただく七つの都市国家の覇権争いを描いた作品。いやぁ、複数の陣営に別れた争いをそれぞれの思惑を描きつつ、きちんと解り易く描くというのは、ほんと巧いなぁ。加えて今回は、三宮ナツメの常磐姫を中心に魅せてるんだけど、もうもう、やっぱり優しく温かく描かれていて、うきゃ~~~~。ほんとにとにかく、素晴らしい~~。……これで、もうちっと刊行ペースが早ければ、言うことないんだけどなぁ(^^;。

[ 2005.05.19 ]


メディアワークス 電撃文庫
七姫物語 第四章 夏物語 /高野 和

最高傑作級。素晴らしいとしか言い様がありません。……中華風の世界を舞台にして姫役のカラを中心に、たおやかな空気を穏やかな語り口で丁寧に紡いだ傑作。今回は、各勢力のツヅミ撤退とその思惑。クロハさんのキャラはほんといいなぁ。や、派手な演出&展開を採用せずに、淡々とカラとその周りの人を描くことで、あの世界の空気をきちんと見せる様は、ほんとに素晴らしい。さらに、それぞれの姫を担ぐ各勢力のかけひきも、とにかく面白い。……これで、刊行ペースが、せめて1年に1冊ペースを守ってくれたらいいんだけどなぁ(^^;。

[ 2006.09.16 ]


メディアワークス 電撃文庫
七姫物語 第五章 東和の模様 /高野和

相変わらずの穏やかな語り口で、おもしろいおもしろい。そして、その語り口とは裏腹に、なんですか、その怒涛の急展開はっ!! うわぁぁぁぁぁ、早く続きが読みたいぃーーーーっっっ!! ……って、どうせ、続きは、一年以上あとなんだろうケド(^^;。

東和という中華風架空世界を舞台にした、七つの都市国家と、それぞれの都市国家が推す七人の宮姫の物語。とにかく刊行ペースが遅いのが玉に瑕なのだけど、戦国時代にある都市国家同士の権謀術数を、穏やかな語り口で魅せる様は、やっぱり、素晴らしい。そして、この5巻で物語も大きく動き、いよいよ凄くなってきたよ。外道な奴も登場し、いやぁ、あと数巻で完結させるつもりなのかしらん。ほんと、続きがめちゃくちゃ楽しみです。……ただ、展開が急でちょっと説得力がないだろ?と思うところも。いや、理屈ではわからなくもないんだけど、とくに、一宮シンセン、二宮スズマの展開は、もうちょっと、エピソードを入れてページを割いて書いて欲しかったなぁ。あと、ストーリー進行がメインで、遊びが少なかったのも、ちと残念だったりも。

[ 2008.04.13 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
七姫物語 第六章 ひとつの理想 /高野和

もったいない。凄くいい物語なのに、これで終わりなのか。確かに一つの区切りだけど、まだまだ続きを読みたい物語だよなぁん。

それぞれの宮姫を擁する七つの都市が割拠する東和。七宮カセンをはじめとする四都同盟に対し、一宮、二宮の連合軍が戦いを仕掛ける……。というわけで、三年ぶりの新作で最終巻。架空の中華風世界での戦乱の時代を、独特の淡々とした語り口で描くこの空気感は、相変わらず、素晴らしい。今回は、二宮の翡翠姫の出番が多かったけど、他の宮姫以上に一国を担う重責と孤独が切ないね。そして大物の片鱗を見せるカラ。遠くない未来、テン、トエとも道を違えることを予感させる描写。七宮に関する人たちだけでなく、やぱし、この後の続きが読みたいなぁ。ホント、もったいない。軍事力だけじゃない七都市のパワーゲームと、その中で夢を語り人々の期待に応えようとする宮姫たちが、そして何よりこの世界観とたおやかな雰囲気が、とにかく素晴らしい物語でした。

[ 2011.06.20 ]