2025年 2月 2日
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アース・スター ルナ
◆ ライブラリアン 本が読めるだけのスキルは無能ですか!? (1) /南の月 -
やっぱり幼女主人公、好きだわ。転生幼女だけどなっ。
そういうわけで、スキル至上主義の世界で無能スキル持ちの幼女が頑張る話。無能スキル主人公は、初手、追放がお約束なんだけど、本作の主人公は、家族や周りの人たちからは愛されていて、ただ、無能スキルだと、将来、結婚も就職も難しいことから、幼いながらも勉強や家事を頑張っていくという話ですね。
まあ、無能スキルと言っても、主人公の持つスキルは「本を召喚する」というものでアカシックレコード系の最強スキルにしか見えないのだけど、この作品は、設定や構成が非常によく練られていて、主人公のスキルが無能スキルと言われている理由も、「昔、読書にハマって政務をおろそかにした王族がいた」とか「平民だとそもそも本が読めなかったり知識を活かせない」というもので、なかなか説得力がある。実際、主人公もはじめは文章を勉強することからはじめるしなー。勉強しないと使いこなせないスキルなので、頑張る幼女と非常に相性がいい。現代に置き換えると、世界中の図書館の入館証を持ってるだけという感じのスキルだもんな。
しかし、ほんと頑張る幼女いいわぁ〜。一応、転生設定だけど前世の記憶は曖昧なタイプで、単に、幼女なのに一生懸命頑張る理由作りに使っている感じ。まあ、曖昧な記憶しかないわりに、知識チートが混ざっていて、設定や構成を練っているわりに演出面で作者の力量不足を感じることがあるのは残念ポイントか。後半の唐突感や魔法の扱いなんかも併せて、書籍化の際に、編集から改善するような指摘をしなかったんかなー、という気はしなくもない。
まあ、とにかく主人公の幼女テルミスの一生懸命頑張る姿が愛おしく、続きもすげー楽しみだ。
[ ライブラリアン ]
2025年 1月 27日
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SBクリエイティブ GA文庫
◆ ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア(15) /大森藤ノ -
最高傑作。結末はわかっていたけれど、いや、だからこそ、このラストは凄いな。
本編20巻ラストの衝撃的なロキ・ファミリアの壊滅、そこへ繋がるのが、この『ソード・オラトリア』の15巻なのね。ロキ・ファミリアを中心とする派閥連合は、未踏のダンジョン60階層、そして、『穢れた精霊』の討伐へ、という展開なのだけど、いやー、迷宮都市オラリオの総力をあげたこの最高戦力が、やがて壊滅するという絶望感というか緊張感が半端ない。他の冒険者にはたどり着くこともできない深層で、フィンの打つ手が的確で、パーティが強力だからこそ、ここから壊滅するという緊迫と絶望。凄い。
そして、何より凄いのは、壊滅後。ラウルとレフィーヤ、決意と不屈。ああそうだ、『ソード・オラトリア』はレフィーヤの物語だったんだよな。ラストの一文とイラストが素晴らしいのだけど、ここからか、ここから本編と合流して先に進むのか。すげー続きが読みたい。楽しみすぎるっ!!
2025年 1月 20日
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一二三書房 サーガフォレスト
◆ オルクセン王国史 ~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~ (1) /樽見京一郎 -
えっと、オークは野蛮に書かれてないし、エルフも平和に暮らしているわけではないんだか(笑)。
物語は、エルフの国の民族浄化、大量虐殺から逃れたダークエルフが、逃れた先のオークの国の軍隊に組み込まれ、エルフの国に復讐を図る、という感じかな? いや、1巻では、オークの国「オルクセン王国」の説明、特に、軍事組織の説明がメインで、エルフの国との開戦までにはまだまだイベントがありそう。あとがきによると、「兵站」が大きなテーマの一つということで、いかにも細かな軍事設定好きのミリタリー小説という感じ。ファンタジーでよくある剣と魔法の物語ではなく、ほとんど「銃」だけだしなぁ。
「兵站」が大きなテーマというだけあって、全国に鉄道網が整備された近代が舞台。鉄道はあるのに航空機や戦車はない文明レベルみたいで、銃火器と騎兵がメインの軍隊っぽいのがおもしろい。ダークエルフが騎兵してるとかすごく映えるもんな。アメリカ南北戦争あたりの時代感なんだろか? 銃火器メインなのに塹壕戦前という時代設定にロマンを感じる。いや、今後の展開によっては、塹壕線や爆撃機とかも登場するのかもしれんけど。
ミリタリー系のファンタジー小説かな?と思って読んでみたのだけど、期待通りの内容で、ディネルースとグスタフの関係も楽しく、非常におもしろかった。ただ、まだ開戦まで至ってないので、戦争をどういう風に描くんだろうかなー。
[ オルクセン王国史 ]