2025年 3月 10日
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インプレスNextPublishing いずみノベルズ
◆ 悪徳令嬢クラリス・グローリアの永久没落(1) /モモンガ・アイリス -
小説家になろう ですごく好きだった作品が書籍化っ!! 書籍化にあわせて中断していたWeb版の更新も再開したし、こんなに嬉しいことはない。
内容は、婚約者が婚約破棄したいという理不尽な理由で火刑に処せらせた伯爵令嬢のクラリス・グローリアが、その火炙りの最中に、前世の記憶を思い出し、不死の身体を手にいれる。と、初手、火炙りからはじまる異世界転生モノ。
クラリスをはじめ、理不尽に社会に見捨てられた人々が、そんな運命に抗うのでも復讐するのでもなく、積極的に運命に流されていくことを選択する物語で、主人公のクラリスは、不死身なだけで、特にチート能力があるわけでもないのに、妙なカリスマ性で人々を魅了し影響を与えていくのがいいんだよね。無能で力もないのに堂々と偉そうに生きるクラリスと、そんなクラリスの影響を受け変わっていく他の登場人物たち。なるほど、悪徳令嬢が周りを感化し、感化された仲間たちとともに状況に流され堕ちていく物語なのんね。
いや、チート能力については、特に序盤では、なんらかの魔法を行使している様子が描かれているんだけど、そこら辺はどうなんだろうな。Web版を読んでた時は、設定のブレのようなものかとも思っていたのだけど、書籍版でも修正されてるわけではないしな。
2025年 2月 11日
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KADOKAWA カドカワBOOKS
◆ サイレント・ウィッチIX 沈黙の魔女の隠しごと /依空まつり -
感動の大団円!! って、まだ続くんかいっ!!!!
正体を明かしたモニカは友人たちの協力を得て生徒会長を助ける……。他人を必要とせず数式の中に生きていた少女が、かけがえのない友人を得ていく物語としては、やっぱり正体を明かし助けを乞う前巻ラストがクライマックスだよなぁ。今回は、大団円へ至るためのエピローグのような一冊。審議会後のモニカとアイザックのシーンが泣ける(T-T)。そして、その後のみんなの生活が感無量。
一応、クロックフォード公爵との最終決戦はあるのだけど、他のキャラを含めた見せ場を作りつつコミカルに演出していて、クロックフォード公爵との対決というより、<沈黙の魔女>の凄さを見せつける展開。モニカの、ドジっ娘ぶりと恐ろしいほどの天才ぶりをきちんと両立して描く筆致は、ほんと凄いよね。
学園を卒業したあとのみんなの生活もこれ以上ない大団円で、これこそ理想的な最終巻、最高のラストだと思うのだけど、え〜、新章開幕しちゃうのか!? ここまで綺麗にエンディングを迎えると、むしろ不安が勝るんだけど、続きはどうなるの????
[ サイレント・ウィッチ ]
2025年 2月 10日
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新潮社 新潮文庫nex
◆ 世界でいちばん透きとおった物語(2) /杉井光 -
透きとおってねえよっ!!<をい
あの傑作ミステリ『世界でいちばん透きとおった物語』の第二弾。あの素晴らしい仕掛けを考えると続編はないかな、と思っていたのだけど、まさか出るかー。……って、あの仕掛けと同等のものを用意するのはさすがに無理で、まあ、普通のミステリになってるな。
そういうわけで、杉井光らしいミステリで普通におもしろくはあるのだけど、ただ、読んでいると、どうしても1巻のような仕掛けを期待してしまうので、物足りなさは否めない。探偵役のヒロイン・霧子さんの存在感が薄いのも相変わらずでいまいち。亡くなったミステリ作家の軌跡を追うという展開なので、作家ネタ、ミステリネタが好きならおもしろいかな?という感じか。
ふつーにおもしろいのだけど、続編ということで期待が高かっただけに、やっぱふつー止まりなのは物足りないよなー。続編でも、せめて、タイトルを変えてくれれば良かったのに。商業的な理由で続編を強調したいのはわかるけどさー。
[ 世界でいちばん透きとおった物語 ]