2023年 6月 4日
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KADOKAWA 電撃文庫
◆ ウィザーズ・ブレインIX 破滅の星(下) /三枝零一 -
いろいろと納得できず消化不良で、どうにも読むのに時間がかかってしまったのだけど、……クソじゃね?
いや、好きな作品なので肯定的に解釈したかったのだけど、どうにも酷い。前巻のラストで、ろくに説明もなく「シティ連合側も賢人会議を絶滅させれば生き残れる」と言い出した時点で違和感を感じてたのだけど、流石にいろいろと納得させるだけの説明や描写が足りず、あまりに雑だ。人類側も魔法士側も今すぐ相手側を殲滅しないと生き残れないという構図を作りたい作者の意図はわかるんだけど、もうちょっと丁寧にやろうよ。で、世界再生機構も「これ以上犠牲が出ると停戦は不可能になる」みたいなことを言い出すんだけど、今までの戦闘ですでに血が流れすぎていて、今更、多少犠牲が増えても変わらねぇよ。シティ二つ潰してるんだぜ? もう、そんなラインはとっくに超えてるんだよ。
これだけ世界が追い込まれた状況を作ってしまうと、ほんと、ここから「想い」だけで人類と魔法士が協力しましょうと言い出しても、凄く軽いんだわ。これもぜんぜん描写も過程も足りない。いや、人類も魔法士も、互いを殲滅しないと、明日には絶滅しそうな勢いで追い込まれてるんだよ? このタイミングで協力できるんなら、状況的にはシティが同盟を結成する時とか前回のベルリンの決戦の時の方が遥かにハードルは低くて、あの時、苦悩していたルジュナさんとかなんだったの?って話ですよ。台無しですよ。
練をはじめ世界再生機構も、この段になって展望ゼロでそういう選択とっても、単に自己満足で人類滅ぼそうとしてるだけのすげー利己的なバカにしか見えない。いやー、「いつか」とか言ってるけど、人類、魔法士双方とも限界まで追い込まれてて明日滅ぶかもしれないんですけど? マサチューセッツの支援ひとつとっても、もう、人類、魔法士双方ともリソース全然残ってないはずで、協力してなんとかなるレベル超えてるんですけど? もう何もかもどーしようもなくて、だから、みんな苦悩してたわけでしょ? いろいろと、あまりに雑で軽くない? そして、ラストでサクラさんも何言っちゃてんのよ。
まあ、もちろん、こんな不満も最終巻で全部解消させてくれると信じてはいるのだけど、最終巻は秋、半年後かー。
[ ウィザーズ・ブレイン ]
2023年 5月 22日
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KADOKAWA 電撃文庫
◆ 楽園ノイズ(6) /杉井光 -
あとがきでは、コンクール対決が中核のように書かれているけど、どう考えても、真琴の、いや、物語としてもスクラップ&ビルドを目指したお話。このまま完結してもいいような、非常に素晴らしい読後感で、それはある意味いつも通りだけど、まだまだ続くよね? PNOや華園先生との関係も大きく変えそうな予感を感じさせつつ、物語としては着地点が見えない。アーティストとしては、すでに、凄い領域にまで到達してると思うので、このあとどうエピソードを作っていくんだろうか。
とにかく、今回で、伽耶も後輩として入学してきて真琴たちも二年に進級。進級したばかりなので、いろいろイベントはあると思うのだけど、ほんと、どこに進むんだ、この物語?
[ 楽園ノイズ ]
2023年 5月 11日
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TOブックス
◆ 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身XI」 /香月美夜 -
えっ、今回で完結じゃないだと……。
いや、Web版では何度もラストまで読んでいて残りの文章量から今回で完結かと思ってたんですが、まさか次巻に残すとは思わなかった。Web版の終盤の展開は好きで、ここは間髪入れずにラストまで書き切った方が余韻を感じさせるし読後感もいい気がするのだけど、まあ、次巻を読まないことには良し悪しは判断できないか。次巻は冬とのことなので、だいぶ先だー。
終わってないということは、当然、Web版からの加筆がたくさんあるということなのだけど、うわぁ、神様たち人間味ありすぎる(笑)。英知の女神メスティオノーラのやり取りがかなり追加されてる印象だけど、メスティオノーラさん、こんなキャラでしたっけ? そして、対するフェルディナンドも大人気なくて、これはめちゃくちゃ楽しい。こういう加筆はすごくいいですね。
そして、最後の大規模魔術の場面はWeb版から好きで想像するだけでもビジュアル的に凄く素敵なので、いつかきちんと映像で見たいなぁ。
[ 本好きの下剋上 ]