θ 11番ホームの妖精


メディアワークス 電撃文庫
θ 11番ホームの妖精 /藤真千歳

ダメダメ、というか、リアリティの置き方が、私的に気持ち悪すぎる。もともと、「多少の嘘は気にするな」というタイプのファンタジー色の強い SFなのだけど、そこで、SFらしいリアリティを出すために、“東京駅”とか“国土交通省”とか“J.R.”とか、現実の固有名詞を出す手法を用いているのんな。……この手法で、リアリティを感じる人もいるんだろうケド、私には、むしろ胡散臭さが倍増するだけで、とてもじゃないけど、読めたもんじゃなかった。素直に、ファンタジー世界にしてくれれば良かったのに(T-T)。

そゆわけで、ワープ航法っぽい技術が開発された未来。東京駅の、上空2,200mに浮かび滅多に使用されることのない、11番ホームを担当する三等駅員である少女の物語。基本的には、のほほんとした雰囲気の中での、一風変わったお客さんとのちょっといい話。まあ、雰囲気は悪くないのだけど、やっぱり、ツッコミどころの多い設定とリアリティの置き方が、どうしても私には合いませんでした。ていうか、この粗い設定で、ムリに SFっぽさを出そうとしたのが失敗だと思う。残念無念。

[ 2008.04.15 ]