好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!!


2016 9 23

KADOKAWA ノベルゼロ
皿の上の聖騎士(2) ―A Tale of Armour― /三浦勇雄

うーん、なにか期待していたものと違うな。もっと絶望的な物語になるのかと思ってたよ……。

偽りの伝説に翻弄される姉弟を描いたファンタジー第二弾。人智の及ばない霊獣との対決に、霊獣一体倒すごとに大きな代償を払っていくような展開を期待していたのだけど、いまいち絶望が足りない。イージーモード感。もともと、大人向けのレーベルとの謳い文句だったので、もうちょっとハードな物語を期待してただけに、どうにも物足りないなー。求めているものが違うんだろうけれども。

姉の身体を取り戻すという目的のほかに、世界の謎のようなものも出てきて、物語の進む方向がいまいち見えないのも気になるな。霊獣と対峙する絶望も、奪われた姉の身体を取り戻すことへの切迫感もなく、世界の謎と奪われた姉の身体の絡め方次第なんだろうけど、コミカルにするにしろシリアスにするにしろ、もうちょっと尖がった部分がほしいなぁ。

[ 皿の上の聖騎士 ]


2016 9 22

もともと雑な語りの多いライトノベル界隈ですが、雑語りが結果として集合知を集めてみんな幸せになる というようなことは稀になり、最近では、間違ってるツイートをどんどん晒すマン晒すのをやめるまで殴り続けるマン の間で、流血沙汰も辞さないような抗争も勃発し、殺伐した世界になってきています。

そもそも、間違ったツイートを「晒す」「晒すな」という以前に、「ちゃんと正しい知識を身につけよう」という話だと思うのですが、あまりそういう話にはならないんですよね。ただ、ライトノベル評論ブームの端緒となった日経BP『ライトノベル完全読本』の刊行から12年たち、それなりにラノベ本も出ているので、ライトノベルを語る上で必読書のようなものを挙げておきます。って、三冊しか挙げられなかったorz。……まあ、せめて、この程度の知識は頭に入れて語ろうよ、ということで。

って、雑語りで最も問題になるのは「最近のラノベ」で、ここら辺の知識を仕入れるのはなかなか難しかったりするのですが。せめて、宝島社『このライトノベルがすごい!』のコラムを毎年ちゃんと読んでいれば、そんな変な言動は出てこないと思うのだけど。

ライトノベル☆めった斬り! /大森望、三村美衣/太田出版(2004年)

ライトノベルの起源が『超革命的中学生集団』と呼ばれているのはだいたいこれのせい。出版当時はSF史観が強いと批判されていたのだけど、結局、このラノベ本ほどライトノベルの歴史を、その周辺も含めて網羅的に的確に扱ったものは、今のところ出てきていません。

このラノベ本では、ライトノベルの歴史を網羅的に的確に取り上げているだけでなく、大森望と三村美衣の解説にはきちんと説得力がある。この『超革中』起源説のあとも、新城カズマが『ライトノベル「超」入門』で1990年ライトノベル元年説を提唱したり、大橋崇行が『ライトノベルから見た少女/少年史』でライトノベルの起源を戦前戦後まで遡ろうという試みをしてるのだけど、大森望の論ほどの説得力がぜんぜんなくて、結果、支持されていない。ライトノベルの起源というと、『ロードス』だ『スレイヤーズ』だ、いや、立川文庫だという話はよく耳をするのだけど、じゃあ、その理由をちゃんと説明できますか?というと、これが、なかなか難しいんですよ。ライトノベルの起源や歴史を語るのであれば、追認するにしろ意義を唱えるにしろ、まずは、この『ライトノベルめった斬り!』がベースラインになると思います。

ライトノベルよ、どこへいく―一九八〇年代からゼロ年代まで /山中智省 /青弓社(2010年)

具体的な資料を挙げながら、今までライトノベルがどのように語られてきたのかをまとめた良書。ライトノベルについてて語るのであれば、90年代とゼロ年代の受容のされ方の違いや、「ライトノベル」と呼ばれるようになった経緯、SFや一般文芸との関係がどのように語られてきたかは、当然、知っておくべき。というか、ジュブナイルやヤングアダルト、SFや一般文芸との違いもわからずにライトノベルとはなにかと語れないですよね? それが、この一冊で大体把握できます。少なくとも考えを纏める切っ掛けにはなる。

ライトノベルの名称に触れておくと、他のラノベ本でもパソコン通信のニフティサーブで生まれた経緯は語られるのだけど、そのニフティサーブのローカルな名称が、どのように世間一般に受容されていったかをきちんと記したものって、あんまりないんですよ。例えば、『ライトノベル「超」入門』では、ライトノベルの名づけ親である神北氏との話を起点に「ジュブナイル」や「ヤングアダルト」との差異を解説してるのですが、どうしても、新城カズマの印象論になってしまっている。そこを『ライトノベルよ、どこへいく』では、きちんと資料を参照しながら、ゼロ年代初期にはライトノベルの読者層が30代まで広がっていたこと、そして、少年/少女向けを意味する名称では混乱が発生していたことを示し、その上で、少年/少女向けを意味しない「ライトノベル」が選択されたと結論付けていて、一定の説得力があります。

ちなみに、ニフティサーブでライトノベルが名づけられた経緯は、名づけ親である神北氏もいろいろ書いているので 名付け親だぞ: 神北情報局 を参照。

コバルト風雲録 /久美沙織 /本の雑誌社(2004年)

ごめんなんさい。元になったWeb連載の「創世記」のほうしか読んでない。

初期のライトノベルを語る上で、Web上で公開されている 久美沙織「創世記」早見裕司「ジュニアの系譜」 は必読。また、余裕があれば、こちらは書籍になりますが、花井愛子の「ときめきイチゴ時代」も。90年代ゼロ年代にも同種の書籍なりがあればいいんですが、あかほりさとる本はちょっと違うよなぁ。

よく「最近のライトノベルは質が落ちた」という人がいますが、きちんと知識があれば、そんな無謀なことは、なかなか言えないのではないかと。まだ、子供の読み物としてライトノベルがバカにされていた時代、当時、低レベルと批判されていた表現も、きちんと作者たちが計算して組み込み、そして実際に結果を出していたことが、随所に見て取れる。今の表現も同じであることは容易に想像できるのに、安易な批判はかなり難しい。そうはいっても、やはり当時はいろいろとむちゃくちゃで、それが30年かけてここまで進化してきたと理解することができます。にもかかわらず、質が落ちたってどういう……。

[ ライトノベルを理解するためのラノベ本三冊 ]


2016 9 19

SBクリエイティブ GA文庫
ゴブリンスレイヤー(3) /蝸牛くも

ふつう。もともとエログロで話題になった作品なのに、まったくそういう要素はなくなってしまい、あまりに普通すぎるだろっ!!

収穫祭を前に、受付嬢や牛飼娘、女神官、妖精弓手は、それぞれ……。と、リア充爆発しろっ!! いや、三巻にして、すっかりふつうのハーレムラブコメになっちゃてるのだけど、えっと、『ゴブリンスレイヤー』に求めていたものって、こういうライトノベルらしいファンタジーでしたっけ? 血と泥にまみれた陰鬱な戦闘はなくなり、さらわれた娘が凌辱されて絶望するような展開もなくなり、単に、ゴブリン一筋な朴念仁とそんな彼に惹かれる女の子たちの物語になっていて、ええっと、つまらなくはないけれど、求めているものが違う……。

ここで、ヒロイン一人を犠牲にするぐらいの展開を見せてほしいのだけど、もう、ふつうのラノベ路線で行くのかな? でもそれでは、せっかくのダークファンタジーがもったいない……。

[ ゴブリンスレイヤー ]


2016 9 17

アスキー・メディアワークス 電撃文庫
魔法科高校の劣等生(20) 南海騒擾編 /佐島勤

水着回っ!! 水着回っ!! いや、みんなで意味もなく沖縄に行くという、いかにも水着回なフォーマットなのだけど、それにしては、一人ほのかが頑張ってるぐらいで、ちょっとサービスシーンが少なくないですかね?

そゆわけで内容は、達也と深雪は四葉の仕事で沖縄へ。一方、雫やほのか、三年生たちもたまたま旅行で沖縄に行くことに……。と、まあ、中休みな回で、卒業する三年生を中心に沖縄で活躍するという話。ベタに典型的な水着回フォーマットなのだけど、どうにもサービスシーンが少ないのは、どういうことよ? はっちゃけ感が少なすぎるよね。敵役にロリババア的なオーストラリアの魔法師も出てくるのだけど、いまいちレギュラー陣との絡みもなくさほど活躍もなく退場するのも、なんだかなー。そもそも、大国中国や世界最強のアメリカですら達也の敵ではないのに、いまさら鎖国中のオーストラリアが出てきたって役不足感が酷いだろ。まあ、まったく苦戦もせずやっつけてしまうのは、『魔法科高校の劣等生』らしくていいとは思うのだけど。

いつのまにか次巻では、達也と深雪も三年生なのか。新入生の三矢詩奈は、また十師族らしいのだけど、どんなキャラなんですかね?

[ 魔法科高校の劣等生 ]


引き続き、サイトのカスタマイズ中。「ライトノベル感想リンク集」や「ライトノベルあんてな」のレイアウトを変更。スマホでの見栄えが良くなるように変更してるつもり……。あとは、誰も見ない「トップページ」も十数年ぶりにイラストを差し替えてラノベサイトっぽくしてみたり。まあ、そもそも、うちのサイト構成だと、サブディレクトリではなくサブドメインな構成で作るべきだったんだよなぁ。トップページがあまりにいらない娘すぎる。

さいきんの

皿の上の聖騎士(2)

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