ロクでなし魔術講師と禁忌教典
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富士見書房 富士見ファンタジア文庫
ロクでなし魔術講師と禁忌教典 /羊太郎 -
2014年下半期の好きラノ一位 ということで読んでみました。第26回ファンタジア大賞<大賞>。うーん、王道でお約束、手堅くおもしろくはあるのだけど、あまり突き抜けた部分がない印象。まあ、ファンタジーである魔法を体系化して設定しようしていて戦闘にもそれを活かして戦略的に描いているのは素晴らしいんだけどねー。
内容は、育ての親によって無理やり魔術学院の非常勤講師にさせらた、三流魔術師のダメ人間・グレンの話。まあ、三流魔術師のダメ人間といっても、実は能力が偏っていて一見落ちこぼれに見えるだけで、さらに過去の出来事によって情熱を失ってやさぐれている、という設定。主人公の落ちぶれ方や魔法設定のこだわりは、『魔術士オーフェン』をなんとなく思い出させるような感じかしら。
はじめは全くやる気のなかったグレンも、ヒロインたちに少しずつ感化され、そしてテロリストが学院を襲撃した際、生徒たちを守るため本気を出すというお約束な展開で、非常に手堅くおもしろい。ただ、テロリストとの戦いは、もっと無双してもよかったんじゃないかなー。強力な魔法をぶちかますような単純な戦闘ではなく、ちゃんと魔法の体系を踏まえて描かれた戦略的なバトルは素晴らしいのだけど、肝心の敵の説明が弱いので、いまいち敵の強さに説得力がないのよねー。所詮ぽっと出の敵役に、そこまでの強さを付与しちゃいかんだろー。まあ、講義をうまく使った魔法理論の見せ方と、それを活かした戦闘が華なので、その戦闘が映えるように、多少敵が強いのは仕方ないか。
[ 2015.01.24 ]