僕たちは監視されている


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
僕たちは監視されている /里田和登

第1回『このライトノベルがすごい!』大賞<金賞>。要は、自分の私生活を四六時中ネット中継してるネットアイドルたちの青春ストーリー。あれ? ネットアイドルってもはや死語? (汗;。その少女たちがネット中継でプライベートを切り売りする理由付けのために、「IPI症候群」やら「IPI配信者」やらの設定を導入してるのだけど、これらの設定は練り込みが甘く、また説明のための構成も酷く、この点についてはかなり残念。せっかく、青春ストーリーとしては秀逸なのに、この設定と説明は何とかならなかったのか……。

無駄な設定と下手なその説明パートが多くを占める前半は、正直、酷いと思ったのだけど、この作品の素晴らしいところは、少女たちの複雑な悩みと真っ直ぐな想いを主体とした青春ストーリー。主人公でそこそこ売れはじめているネットアイドル(^^;の祭と親友の一葉。この二人の会話が楽しく、そこに大手ネットアイドルのユイガが加わりはじまる、祭とユイガのせつなさ溢れる心の交流が、ほんと素晴らしい。特に、ユイガの秘密が明らかになってからの怒涛の展開が、うひぃぃぃ~~~~~~。ほんと、三人の青春ストーリーに終始してくれていれば、最高だったのにっ!!

[ 2010.09.09 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
僕たちは監視されている ch.2 /里田和登

素晴らしい素晴らしい。いやぁ、“絆”を求める少女たちの物語が、せつなく感動的な内容に仕立ててあって、あうぅ(T-T)。1巻と比べて、雰囲気はそのままに、段違いに素晴らしくなってるよぉ~。

自身をコンテンツとしてネット上で配信する少女たちと、その周辺で傷つく少女たち……。1巻は、祭とユイガを中心としたコンテンツ配信者がメインだったけれど、この2巻は、むしろ、配信者の周りの友人たちに軸足を置いた内容。もともと1巻でも、会話を中心とした少女たちのやりとりが魅力的な作品だったけれど、この2巻は、ほんと綺麗な友情物語になっていて、感動的なんよ。夕菜の苦悩、すれ違う夕菜とユイガの二人の想いががなんという……。そして、ラストの「ありがとう」は、とにかく号泣。泣ける~~。

[ 2011.01.20 ]