追想五断章


集英社 集英社文庫
追想五断章 /米澤穂信

死んだ素人作家が同人誌に寄稿してたらしい5編の短編を探す……、どんだけ難易度高いんだっ!! いや、「死んだ父親が書いていた小説を探してほしい」と依頼を受けて、という話なのだけど、さすがに、プロの作品ならともかく、素人の、しかも、どんな同人誌に寄稿したかもわからない作品が、なんで見つかるんだ?<をい

そゆわけで、5編の小説、リドルストーリーとそれを束ねる20年以上前の未解決事件の謎を絡めた構成が、いやぁ、素晴らしい、素晴らしい。そして、ラストの真相がせつない、いい作品でした。ちらちらと謎の断片を見せるやり方が秀逸で、とにかく読んでて興味がつきない。……しかし、主人公の芳光は、可南子か笙子といい話になると思いきや、まったく恋愛展開がなくて残念無念。というか、芳光というキャラが、最後までいまいちよくわからず、結局、お前は何がしたかったんだ? と思ったりも。五つの物語と父娘の話としては良かったけれど、芳光は、いまいち自己主張弱い主人公だよなっ。

[ 2012.06.18 ]