ドラゴンチーズ・グラタン


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
ドラゴンチーズ・グラタン 竜のレシピと風環の王 /英アタル

むちゃくちゃおもしぇぇぇぇぇぇぇっっっ!! 一生懸命でお人よしだけど鈍くさいシェフ見習い、実は、俺強な少年が主人公。病気で苦しむ少女のために貴重な食材を求め、野盗やドラゴンが跋扈する山へ……。と、剣と魔法とドラゴンというオーソドックスなファンタジーに、料理という変化球を加味した内容が素晴らしいっ!! いやまあ、貴重な食材を求めて旅をする、料理+ファンタジーなネタは、すでによくある気もしますが(^^;。

そゆわけで、このラノ大賞拾い上げの新人作品。はじめは、どこかで見たような文章を切り貼りしただけのような文体と、詰めの甘い設定と展開の雑なところが目に付いて、地雷臭すぎてヤバイと思いつつ読み進めたのだけど、独自の世界観と雰囲気が魅せる魅せる。まあ、ぶっちゃけ、新人としても力量はあまり高くなくて、粗やツッコミどころが目立つ作品だはあるんだけど、そういう荒削りな部分も含めて、いかにもライトノベルらしいファンタジーになっているところが Good。独自の魔法や世界の設定が、いい感じに中二病的でライトな雰囲気を作っていて、主人公のレミオはじめ登場人物たちも、重い過去があるにもかかわらず、いい意味で深刻さを感じさせない軽いノリなのが楽しい。バレロンさんとか、その展開はありえないだろ(^^;。ほんと、これぞ『スレイヤーズ』から続く正統派ライトノベルファンタジー。新人らしい魅力もあり、非常に楽しい作品でした。

[ 2013.02.16 ]