真夜中の五分前


新潮社 新潮文庫
真夜中の五分前 side-A /本多孝好

素晴らしい、素晴らしい。あらすじ的には「恋人が死んだことを未だ引きずっている青年が、新しい愛に辿り着く」という内容なのだけど、いやぁ、ストーリーはともかく、主人公の青年の本人は大丈夫なつもりの未だ傷ついたままの心を描くその描き方が、めちゃくちゃ秀逸。あくまで青年が立ち直る様を描いてるのではなく、1冊通して、「未だ傷ついたままの青年」を描いてるのんな。そのせいで、ラストの立ち直る部分は微妙ではあるけど、ホント、心の描き方が巧くて素晴らしいなぁ。あとは、ヒロイン役となる双子姉妹の描き方も面白かったです。どことなく竹本泉を思い出したり。<をい

そいえば、上下巻ではなくて、わざわざ「side-A」「side-B」と表記してるのは、なにか理由があるんだろうか? 「side-A」は綺麗に 1冊で纏まってるし、「side-B」は単純な続編じゃないってこと?

[ 2007.07.15 ]


新潮社 新潮文庫
真夜中の五分前 side-B /本多孝好

あう、いろんな意味で、「side-A」でやってたことが台無しだろ(T-T)。……「side-B」になったらいきなり、インパクト勝負で場当たり的な B級作品になってしまってるんですよ。いや、作者の人も出来が酷いのはわかっていて、それでも、「作りがおもしろいからいいや」みたいなノリで出版したんだろうなー、と想像できるんだけど、さすがに、ここまでいい加減で出来が酷い部分が目立つと、いくらインパクト勝負といったって、ちょっと読者をバカにしすぎだろー。

や、頭の悪いサスペンス的な B級作品としてみれば、確かに、これはこれで面白い部分もあるのだけど、やはり、「side-A」との関係があんまりにあんまりだよなー。あとはやっぱり、インパクト勝負といったって、もうちょっとまともに書いて欲しかったよなー。まあ、インパクトは確かにあるし、そういう点では、作者側の狙い通りの作品に仕上がってるのだけど……。

[ 2007.07.16 ]