神は沈黙せず
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角川書店 角川文庫
神は沈黙せず(上) /山本 弘 -
めちゃくちゃ面白いです。共感できる神さま像を提示し、さらに、トンデモ理論を鮮やかに切りまくる爽快感。これでもかと詰め込まれた薀蓄の数々も、嫌味になることなく非常に巧く作中で使われていて、薀蓄を読んでるだけでもにやにやと楽しめます。
2010年前後の日本。フリーライターの優歌さんが、カルト教団とかの取材やさまざまな体験を通して、また、遺伝的アルゴニズムの研究者である兄の影響を受けて、超常現象や「神」の存在に対して想いをめぐらす、という話。2003年に出版されたハードカバーの文庫化です。
ほんと納得できる理屈と豊富な薀蓄がとにかく楽しいです。なにかの前兆を感じさせつつ続く下巻もとても楽しみ。……ただ、書かれてから3年も経つと、ネットに関する未来予想は現実からの乖離が目立ってしまって気になるので、その点だけは非常に残念。ハードカバーが出た当時に読んでいれば、さらに楽しめただろうになぁ(T-T)。
[ 2006.12.06 ]
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角川書店 角川文庫
神は沈黙せず(下) /山本 弘 -
ネット社会は怖いねぇ~~。……や、下巻も十分に面白かったです。やはり、既存の宗教やトンデモな思想を次々にバッサリ切って捨てる様が非常に爽快。ただ、上巻に比べてストーリーが大きく動く下巻は、その「神」への理論の組み立てが、かなり雑になってるのがちと残念でした。
そゆわけで、超常現象の頻発により混乱する世界。かつての優歌の恋人でネットのカリスマ加古沢黎は、なぜか優歌と良輔の兄妹を陥れようとする……。ストーリーが大きく動き出す中、肝心の理論の組み立てというか説明が、ちょっと雑になってるのが残念なんだけど、そのストーリー自体は、二転三転する中、落ち着くところに落ち着いていて、なかなか良かったです。途中はかなりごたごただったけれど、最後はわりと綺麗なハッピーエンド。まあ、理論が書きたいのか、ストーリーが書きたいのか、微妙にどっちつかずで中途半端な予感もするんだけど(^^;。
そいえば、大森望や鏡明の書いてる巻末の解説を読むと、山本弘は作家としてよりも「と学会」の会長として有名、みたいにも取れる書き方をしてるのだけど、山本弘は世間一般には、そういう立ち位置なんでしょうか(^^;。私的には、「と学会」は名前を聞いたことがある程度しか知らなくて、山本弘といえば『時の果てのフェブラリー』という認識だったんですが。
[ 2006.12.07 ]