ひかりをすくう


光文社 光文社文庫
ひかりをすくう /橋本紡

人生、舐めすぎだろっ!! 若いカップルがいきなり引っ越した田舎で仕事もせずにのほほんと過ごす、その何気ない日常を描いた作品なんだけど、主人公のあまりに身勝手で都合のいい考えに、読んでて苛立つこと苛立つこと。田舎へのひきこもりでも、ニートでもいいんだけど、心配する知り合いからも距離を遠ざけ孤立を深めながら、緩やかに死んでいくようなぬるま湯の生活が、とにかくイライラする。心を病んでしまった人の、歪ながらも穏やかな日常という、橋本紡の過去の作品でも似たような構図の話はあるけれど、主人公が学生ではなく大人というだけで、こんなに苛立つもんなのか。

[ 2009.07.25 ]