戦闘医師 野口英雄


ホビージャパン HJ文庫
戦闘医師 野口英雄 /草木うしみつ

このタイトル、インパクト強すぎだろっ。“野口英雄”って、をいっ!! ……まあ、名前と多少のプロフィールを借りてきてるだけで、あの千円札で有名な野口英雄が現代に蘇ってバトルするってわけではないのだけど(^^;。

病魔がバケモノの姿で人を襲うようになった近未来。国際的な医療機関に逆らって病魔と闘ったため最低ランクのライセンスに落とされた野口英雄は、民間の組織を結成し再起を目指す。というのがだいたいのストーリー。うーん、この設定で、なんでライセンス剥奪でなく、中途半端に最低ランクなんだ? いや、流行の「最低ランクの最強」というフォーマットにしたかったんだろうけど、明らかに無理してるよなー。さらに言えば、その主人公の野口英雄、かつて大佐として軍を指揮して恐れられ、そして退役後、戦闘医師になって数年間第一線で活躍したという経歴で、それで、どうやったら十七歳になるんだ? ライトノベルらしくするためなんだろうけど、絶対おかしい。作風的にリアルな作品を書くタイプの作家ではないとは思うんだけど、だからといっても、頭悪すぎだろー。まあ、その頭の悪い部分もこの作品の魅力の一つなんだけど、でもやっぱ、ブラックジャック先生よろしく、無免許医師でよかったんじゃね?

頭が悪い作品という意味では、主人公の名前が、本人でも生まれ変わりでもなく「野口英雄」という時点で凄いし、主人公の必殺技が、「黄熱病」と書いて「トリアージ」とルビを振るセンスも凄い。そもそも、病魔がバケモノの姿で人を襲うとか、どういう発想だっ(笑)。この『戦闘医師 野口英雄』、いい意味で頭が悪くないと書けない作品なんだけど、頭が悪いゆえに出来の悪い部分が散見され、残念感が強いなぁ……。

[ 2016.02.09 ]