リラム


KADOKAWA ノベルゼロ
リラム ~密偵の無輪者~ /神野オキナ

俺THUEEEEっっっ!! や、俺THUEEEEといっても、今風のではなく80年代のそれな。80年代ライトノベルを彷彿とするような無敵の主人公と、そして、エロスとバイオレンスっ!! 主人公の特技が房中術って(^^;。経済性至上主義な価値観の異世界を舞台といいつつも、結局、セックスと暴力が支配する異世界ファンタジー。

“これは軍勢のない戦争だ”とか“神なき、経済的駆け引きの世界”とのキャッチフレーズに、直接的な軍隊による戦争ではなく、謀略中心の経済戦争みたいな話かしらん?と思ったのだけど、なんだか普通に忍や侍が活躍するバトルメインの物語。“経済的駆け引き”というのは、すべてが数値化されてその計算に従い行動を決めるコンピュータシミュレーションのような世界を言い表してるのな。異世界が舞台なのだけど、神野オキナらしく、中国っぽい国と日本っぽい国に挟まれた、琉球のような立ち位置のロキオルスが舞台。まあ、確かに軍隊どおしの戦争ではなく、忍者大決戦みたいな話で、だからこそ、エロありバトルありでおもしろいのだけど、やっぱ、キャッチフレーズとの印象が違うよなぁ。

まあ、忍や侍が跋扈する世界で活躍する無敵の主人公というのは爽快でおもしろい。もちろん、18禁ではないけどエロもあるよっ!! ……ただ、今風の俺THUEEEEだったら、敵対した兄上は軽く潰されててもいいと思うのだけど、そこまで大胆にいけてないのは残念。せっかくあそこまで強い主人公を作ってるのに、そこまでは突き抜けてないんだよなぁ。少人数のチームで国やその裏で暗躍する組織と対決するような話になっていくんだろうけど、せっかくの無敵の主人公なのに、中途半端な俺THUEEEEになっちゃいそうなのが、ちと不安だ。

[ 2016.07.30 ]