帝冠の恋


集英社 コバルト文庫
帝冠の恋 /須賀しのぶ

どんだけマイナーな選択だよっ!! いや、もともと、ヨーロッパ史は疎いのでアレなんだけど、有名なナポレオンやフランツ・ヨーゼフでなく、その息子と母親っ!! っていうか、フランツ・ヨーゼフの母親、ゾフィーって、やっぱ、悪いイメージが強いと思うんだけど、なんでわざわざ、そのゾフィーをヒロインに選びますかっ!!

そゆわけで、19世紀のオーストリアを舞台にした、ナポレオンの息子フランツと、ハプスブルク家に嫁いできたゾフィーとの禁じられた恋の物語。聡明で大きな野望を抱いているゾフィーの、その野望と大公妃としての立場と、フランツへの恋心のあいだで葛藤する様を、須賀しのぶらしく描いていて非常に面白かったです。19世紀の時代感と雰囲気をツボを押さえてわかりやすく表現した上で、そして、ドラマティックなストーリーに仕上げているのは、さすがに見事。まあ、一人の女性の半生を、たった一冊に纏めたものなので、さすがにちょっと駆け足になっちゃっていて、そこは残念かな。正直、一冊で書く内容じゃないだろ。……ただ、そもそも、このマイナーな話を、単巻とはいえ良く書かせてもらえたな、とは思うけど(^^;。

[ 2008.04.05 ]