虎よ、虎よ!


早川書房 ハヤカワ文庫
虎よ、虎よ! /アルフレッド・ベスター

なるほど、夢枕獏が帯にコメントを寄せるわけだっ!! 一人の漢の圧倒的な迫力が魅力的な作品。もう、勢いだけで無茶苦茶やってるのが、すげーすげー。がしがしガジェットを突っ込んだ、めちゃくちゃ強引なストーリー展開。とにかく、猥雑で荒々しく、粗野で無軌道な話だなぁ。

虎の刺青をした野生的な漢・フォイルは、己を見捨てたヴォーガへの復讐だけを求め生きるっ!! という感じで、ストーリーも設定も荒削りで無茶苦茶なんだけど、有無を言わさぬ強引で荒々しい迫力だけで魅せる作品。いきなりタイポグラフィの演出なんかも入っていて、いかにも勢いだけで実験的に書いたというノリは、ホント素晴らしい。……っていうか、50年前に刊行されたSFの古典で、名作とか傑作とかいう呼び声が高いらしいけど、むしろ、B級エンタテイメント的なノリで、怪作とか奇作とか、そんなタイプの作品だと思うんだけどな(^^;。

[ 2008.09.21 ]