薄氷あられ、今日からアニメ部はじめました。
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宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
薄氷あられ、今日からアニメ部はじめました。 /島津緒繰 -
えっと、私は、大学時代、アニ研に所属してました。一応、監督として、こんな感じのアニメ も作ってます。……で、この作品は、仲間を集めてアニメを作ろう!! という話なんですけど、う~ん、アマチュアのアニメ制作の風景としては、なんだか違和感があるんだよなぁ。いや、ぜんぜん嘘っぽいというわけでなく、むしろ、アニ研出身者じゃないとわからないような、妙にリアルな部分も多いのだけど、だからこそ、些細なところの違和感が強いんだよなぁ。特に、作画周りの描写が、なんかおざなりというか、いい加減というか……。私がアニメを作ってたのは、パソコンが導入される前の 8mmフィルムの時代だったので、作り方もいろいろ変わってるのかしらん? でも、原画描いて、動画割ってって辺りは、あんまり変わらないと思うんだよなぁ。
それはともかく、本作は、第3回『このライトノベルがすごい!』大賞、栗山千明賞受賞作。主人公の火狩隆史は、授業中にエッチな絵を落書きしてるのをクラスメートの女子・薄氷あられに見られてしまい、という感じでスタートする部活モノ。まあ、Going my wayな女の子に振り回されつつ新しいクラブを作っていく、というのは、『涼宮ハルヒ』辺りと同じノリなんだけど、なんだかよくわからない部活をネタにしてるのではなく、「アニメ研究部」という実在する部活をネタにしているのが特徴。ただ、アニ研あるある的なものを期待してたんだけど、そういう感じのはなし。せっかく、漫研と対決したり、アニメ作ったりしてるのになぁ~。
それにしても、ヒロインは 薄氷あられ かと思ったら、どう見ても、生徒会長のほうでした(笑)。個性的でぶっ飛んだキャラが魅力、という話なんだけど、これ、計算してそう描いてるというより、単に、キャラの方向性が定まらないまま書き進めた上にキャラ描写も不安定なだけで、たまたま、変な行動パターンにみえるキャラになっただけなんじゃ……。作者の力量的には、まだまだこれからという印象だったり。
まあ、身近なネタを題材にした作品なので、今後も期待したいところだけど、続きはどうするんだろ? 1本アニメを作っちゃうと次のネタは難しい気もするのだけど、部員の中に、声優や音楽やる人がいないので、そこら辺の人を集めてくる展開かしらん?
[ 2012.10.09 ]