リヴァイアサンのセカイ


スクウェアエニックス ガンガンノベルズ
リヴァイアサンのセカイ /チャー

うわぁ、終盤の残酷さが素晴らしいっ!! ただ、全体としては、ネタと薀蓄を並べてるだけというか、バラバラなシーンが並んでるだけでストーリーとしての一体感がなく、小説としてはいまひとつな出来。や、作者の人が書きたいシーンだけをノリノリで書いてるのが目に見えるようなんだけど、それならそれで、もちっと編集の人なりが、小説としての体裁を整えるように、作者の人の手綱を取るべきだったのではなかろうか?

内容は、薀蓄過多でエゲツない描写が特徴的な、個としては強いが種としては弱い吸血鬼を主題とした伝奇バトル。いやぁ、とにかく、バトルに限らずそのエゲツない描写がすげーのよ。特に後半、インテリ吸血鬼の魯班先生が本気を出し始めてからのバトルと、その後の展開はさいこー。ゾクゾクする。……でも、各シーンは悪くないのに、複数の物語から名場面を集めて切り貼りしたような、出来の悪い総集編みたいな内容はなんなんだろう。意図的なのかしら? マルチストーリーの群像劇というわけでもないのに、シーンごとに主人公が変わりモブにすぎないキャラも主役級のように動き出したり、また、シーンによってギャグだったりグロかったりして雰囲気もくるくる変わったり、小説としては、やっぱり凄く変だ。

[ 2011.03.25 ]