てるてるあした


幻冬舎 幻冬舎文庫
てるてるあした /加納朋子

最高傑作級。うわぁ~、ラストが泣ける、号泣。加納朋子らしく、計算されて組み立てられた構成。そして、『ささら さや』の姉妹編ということで、見事なまでに感動的なストーリーに仕立ててあります。もうもう、ホントに素晴らしいなぁ。

借金で夜逃げした両親。親に捨てられる形となった照代は、遠い親戚の冷徹で厳格な婆さん、久代の家に居候することに。そんな不遇の環境に一人泣く照代に、身元不明の励ましのメールが届き始める……。『ささら さや』の姉妹編ということで、『ささら さや』の「佐々良」を舞台に、照代以外はほぼ同じ登場人物たち。そして、『ささら さや』同様、不思議なネタをエッセンスにと。

いやもう、不幸な境遇に陥ってしまった少女・照代が主人公なのだけど、過度に泣ける演出にはなってなく、むしろユーモラスな筆致で適度に笑えるテイストに仕上がっていて、その上で、せつなさを暖かさで包み込んだような内容になってるのんな。そして、計算して組み立てられたストーリー構成は、ほんとにほんとに出来が良くて、とにかくラストはじんわりと感動的に仕上がってるのよ。ほんとに心温まるステキな物語でした。

[ 2008.04.01 ]