エンドレス・ガーデン
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早川書房 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
エンドレス・ガーデン ロジカル・ミステリー・ツアーへ君と /片理誠 -
滅亡する地球からの退避先の一つとして作られた仮想空間“見えざる小人の国”。しかし、データ化された人間が住まうその仮想世界も、緩慢な死を迎えつつあった。そんなある日、重大なシステムダウンが発生し、メインOSのモスと、モスに生み出されたAIのエンデは、システムダウンの原因を探すため、ユーザ領域のサーチを始めることに……。
という感じで、システムダウンした量子コンピュータを、擬人化されたOSとAIが、様々なユーザ領域を見てまわって修復するという話。「もし、プログラムに意識があったら、こんな風にブツクサ言いながら処理してるんだろうな」と思わずにはいられない内容が愉快愉快。そして、単にOSが擬人化してるだけの内容ではなく、人類滅亡という設定と謎を散りばめたストーリーが、ぐいぐい読ませて面白いっ!! 偏屈な人間たちの作った変なユーザ領域での謎解きと、モスとエンデの掛け合いも楽しく、セントラルクエスチョンになっている、雨燕をはじめとするシステム管理者たちの思惑も興味深く、いやぁ、約500ページの二段組という分量にかかわらず、最後まで飽きることなく面白かったー。
[ 2010.11.25 ]