結界師の一輪華


KADOKAWA 角川文庫
結界師の一輪華 /クレハ

日本を守る術者の分家に生まれた双子の華と葉月。幼い頃から優秀で常に優遇されていた葉月と出来が悪く何事も冷遇されていた華だったが、本家の嫁に選ばれたのは出来の悪い華だった……。と、典型的な冷遇からのざまぁ展開なのだけど、他のざまぁ展開とは一味も二味も違っていて、なかなか面白かった。

いや、通常のざまぁ展開だと、増長して性格が悪い姉と虐げられて可哀想な妹という構図になると思うのだけど、この作品は、周囲の期待に応えるために自分を殺して生きる姉と自由のために能力を隠して生きる妹という構図で、さらにここから、当主に見染められて能力を隠さずとも自由に生きれるようになるという、主人公の華の自由奔放さが凄く楽しいのよね。って、なんかこう書くと姉の葉月が不憫すぎるのだけど、葉月が報われる未来は来るのだろうか?

基本的には、当主相手に好き勝手する華と、そんな華に対して一枚上手な当主の朔のラブコメがとにかく楽しい。あと、厨二心をくすぐる設定、日本を守る五つの家系の一ノ宮、二条院、三光楼、四ツ角、五葉木、それぞれの分家は本家の数字を冠し一瀬家、三井家となっていたりするのも楽しい。まあ、『魔法科高校の劣等生』そのまんまな感じなんだけどね(^^;。ここら辺の設定は、もっと凝って見せてもいいと思うのだけどなぁ。

[ 2024.05.08 ]