蜘蛛ですが、なにか?
-
KADOKAWA カドカワBOOKS
蜘蛛ですが、なにか? /馬場翁 -
「小説家になろう」で読んで面白かったので購入。って、すでにテレビCMもやっているメジャータイトルなので、今更感が半端ないけど(^^;。
物語は、女子高生が蜘蛛のモンスターに生まれ変わる異世界転生モノ。卵から孵ると、周りは空腹のために共食いをしている蜘蛛だらけ。共食いする親兄弟から逃げだすと、食物連鎖の最下層で蛙や蛇に襲われる死と隣り合わせの生活で、食べることのできるエサも毒にまみれた同類の死体。と、そんな地獄のような状況を、楽天的でお気楽な女子高生の一人称で語られるわけよ。そのギャップがとにかく素晴らしい。さらに、同時に死んだ少年も転生してるんだけど、それがパラメータも優遇された王子として転生していて、その恵まれた境遇とのギャップがなおさらスゲー。どう見ても主人公の境遇は酷いんだけど、その一人称文章の筆致のせいで、さっぱり酷く見えないのが素晴らしいんだよなぁ。
ただ、書籍版では、フェイというモンスターに転生した女の子が追加されてるのだけど、いやいや、モンスターに転生してるのは主人公だけだから面白いのに、なんで、いらんキャラ追加したんだ? 積極的に書籍版で改変していくスタイルで、それが改悪にしかみえないとすれば、このまま書籍版を買う価値はあるんだろうか? 素直にWebで読み続ければいい気がしてくるのだけど……。
[ 2017.12.19 ]