紫色のクオリア


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
紫色のクオリア /うえお久光

なんてガチなSFっ!! うわぁ、ハヤカワではなく電撃なのに、ここまでガチなSFをやっても許されるんだ。とうぜん、うえお久光の技量も凄いんだけど、怒涛のSF展開が、とにかく圧巻。壮大なストーリーが、めちゃ凄すぎるっ!!

というわけで、不思議系美少女・鞠井ゆかりと、クールビューティ・波濤マナブの百合物語がベースではあるのだけど、とにかくSF展開が凄い凄い。タイトルの「クオリア(=感覚質)」にはじまる認知科学的なアプローチで考察されていくのかと思ったら、やがて、量子力学から超大統一理論を経由して、指し示すは壮大な光の道。お約束な「シュレディンガーの猫」や「人間原理」に「哲学的ゾンビ」、「コペンハーゲン解釈」、「ファルマーの原理」などなど、それらのキーワードを違和感なく使いこなしながら進んでいく展開が、とにかく素晴らしい。そして、何故にアルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』(→感想)(^^;。……電撃でやるには、いろいろムチャだと思うのだけど、素直にハヤカワでやれ、ハヤカワで(笑)。や、素晴らしい SFで、とにかく堪能しましたっ!!

[ 2009.07.15 ]