龍ヶ嬢七々々の埋蔵金
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エンターブレイン ファミ通文庫
龍ヶ嬢七々々の埋蔵金1 /鳳乃一真 -
おー、おもしろい。ただ、ライトノベルというよりも、一昔前の少年漫画的なジョブナイルですな。親から勘当された八真重護は、美少女地縛霊付きの激安アパートで暮らすことに……、という導入からすると、今風の萌え系ラノベっぽいのだけど、萌え要素は弱くて、むしろ巨大学園島を舞台とした少年向け冒険活劇。ファミ通文庫の新人賞である えんため大賞の昨年の「大賞」受賞作で、さすが「大賞」というべきか、新人作品としては、よく出来ていておもしろい。ただ、全体としては、中高生向けという印象が否めず、こういう冒険的なワクワクドキドキ感は、やっぱり、若い層に受けるとは思うんだけど、私的には、ちと物足りないなー。
それにしても、タイトルには“龍ヶ嬢七々々”とあり、はじめは、この七々々がヒロインかと思ったけれど、むしろヒロインは美少女名探偵のほうだった件。いや、七々々の存在感が薄いのは、ちょっともったいないよなー。あと、少年向け冒険活劇として基本的にはおもしろいんだけど、重護の家庭の事情は、重要そうに引っ張ったわりには、ちょっとチープだったのが残念。それでは重護は、さすがに人間としてちっぽけすぎるだろ~。むしろ、親父がカッケー。
[ 2012.09.13 ]