駒子シリーズ


東京創元社 創元推理文庫
ななつのこ /加納朋子

小夜川さんの評価 がよかったので、読んでみたのでしが、……ほんと、すごく巧いや。日頃読んでいるティーズ向けの小説とは、ぜんぜん巧さのレベルが違う。なんというか、いつも、いかにくだらないレベルの小説を読んでいるのか、恥ずかしくなる思い。普通の小説って、こういうレベルのクオリティを維持しているものなのでしょうか(^^;。……ただ、正直、好みや、そもそもの作者のセンス的なものに大きな隔たりを感じたりもしたのですが(汗;。

短大に通う駒子を主人公としたお話。内容的には、スイカジュースの話であるとか、なんとも言いがたい 7編からなっているのだけど、構成に無駄がないというか、非常によく計算されて作られていて、読み終えたときは、充足感というかは、とてもとても。何話か読む進めていくと、だんだん仕掛けに慣れてくるので、先の展開がわかってしまうことも、まま、あったのだけど、やはり、全体を通して、実に巧妙に作られている。

しかし、ほんと、この作品がデビュー作、というのは、信じられないよなぁ。……これ以外の作品にも、すごく興味が沸くな、この作者。

[ 2000.08.13 ]


東京創元社 創元推理文庫
魔法飛行 /加納朋子

うーん、いまいち。もともと、大きなところで、好みとは違うという部分があるのだけど、前作『ななつのこ』に比べて、構成にいまひとつ感動を覚えない。というか、返信とか邪魔(^^;。構成的に、アレがないと、アレがアレでアレなのだけど、あたし的にすごく蛇足に感じられる部分が多いのよ。

ちゅーか、やはり、あたし、ラブストーリーが好きなんだよね(^^;。『ななつのこ』の方は、全体的にそれっぽい展開があるのだけど、『魔法飛行』、まったくそういう話しなくなってるやん。<一応、サブストーリーとしてはあるのだけど あたし的には、がっかりですよ……。

[ 2000.08.18 ]


東京創元社 創元推理文庫
スペース /加納朋子

おおおおぅ、読了後、思わず前作の『ななつのこ』『魔法飛行』を読み直してしまいましたよっ!! 読んでいる間は、いきなり駒子には関係なさそうな長文の手紙が続いたりして、むしろ違和感を覚えながら読み進めていたのだけど、読み終えてみると、既刊を踏まえた、綺麗にストンと落ち着くところに落ち着くような内容。いやぁ、素晴らしい素晴らしい。

年末のデパートで神出鬼没のアルバイト青年の瀬尾と再会した駒子は、ある謎と想いを秘めた十数通の手紙を託す……。という感じで、『ななつのこ』『魔法飛行』に続く「駒子シリーズ」の第三弾。今回のメインは、短大に進学し一人暮らしはじめた姉から、実家の妹への手紙。読んでる最中は、「いきなりはじまった、駒子とも瀬尾とも関係なさそうなこの手紙はなんなんだ?」と思わずにいられない構成に、ひっかかりを感じながら読み進めたわけだけど、手紙後の駒子と瀬尾の会話と、さらに続く「バック・スペース」が、うわーうわー。なんという迂遠な、遠回りすぎるにもほどがある~~。いやぁ、第三者視点からの駒子周辺の描写も興味深く、非常に暖かい想いになる恋愛ストーリーでした。

[ 2009.05.16 ]